梶栗正義氏が語る混迷する世界秩序と日本の使命: 平和への道と日本の役割 2023/11/19

梶栗正義氏が語る混迷する世界秩序と日本の使命: 平和への道と日本の役割 2023/11/19

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UPF主催の救国救世大会が2023年11月19日、東京都内で開催された。UPF-Japanの梶栗正義議長が登壇し、基調講演を行なった。

梶栗氏は、混迷する世界の中で日本が単なる経済大国を超えた役割を果たすべきと訴えた。歴史と地政学を俯瞰し、中国の台頭、米中対立、インドの影響力増大を背景に、日本と韓国が連携し、インド太平洋の平和とグローバルサウスを繋ぐ使命を強調。内なる危機を乗り越え、国民が覚醒することで、世界を救う日本を目指すべきと結論づけた。
梶栗正義氏「混迷する世界秩序と日本の役割」
1. 世界秩序の混迷と指導者の不在
  • 現在の世界は「指導者なき世界」「羅針盤なき世界」と形容されるほど混沌としている。
  • 第二次世界大戦後、国連が設立されたが、冷戦構造を克服できず、1989年のマルタ会談で冷戦が終結。ポスト冷戦時代が始まった。
  • アメリカの影響力低下と中国をはじめとする新興国の台頭により、世界は明確なリーダーを失い、「ポストポスト冷戦時代」に突入。
  • 中東やウクライナでの戦争が大国間紛争に発展する可能性が懸念され、第三次世界大戦の現実味が議論されている。
2. 中国の台頭とその二面性
  • 中国は「一帯一路」構想や151カ国が参加する国際フォーラムを通じて存在感を高めている。
  • 習近平国家主席は党・軍・国家のトップとして強力な権力を握り、「中国の夢」(中華民族の復興、社会主義現代化国家の実現)を掲げる。
  • 経済成長が共産主義体制を支える一方、経済停滞や不安定要素も抱えており、不安定な大国として世界に影響を及ぼしている。
  • 「チャイナ2049」では、100年マラソン1840年アヘン戦争からの屈辱を払拭し、2049年までに世界一になる目標)が進行中。
3. 米中対立とツキジデスの罠
  • アメリカのエンゲージメントポリシー(中国を関与させることで民主化を促す)は失敗し、中国はアメリカを追い越す野望を隠さない。
  • ハーバード大学のグレアム・アリソンが提唱する「ツキジデスの罠」(覇権国家新興国の衝突が戦争に至る危険性)が米中関係に当てはまる。
  • 歴史上、16の覇権争いのうち12が戦争に至ったが、米ソ冷戦や英米の覇権交代は平和裏に進んだ。米中が同様の道を歩めるかが焦点。
4. インドとグローバルサウスの台頭
  • インドはモディ首相のリーダーシップのもと、G20でグローバルサウスの声をまとめ、存在感を増している。
  • 2075年のGDP予測では、中国、インド、アメリカが上位を占め、日本は12位に後退。グローバルサウスの国々が台頭する多極化世界が到来。
  • 安倍晋三元首相は「自由で開かれたインド太平洋構想」を提唱し、インドとの信頼関係を築いた。これがクワッド(日米豪印)の基盤に。
5. 日本と韓国の役割
  • 日本はGDPでの地位低下にもかかわらず、世界秩序の安定に貢献できる。安倍元首相の価値観外交やインド太平洋構想がその証。
  • 日韓関係の改善(シャトル外交再開、日米韓首脳会談)は、東アジアの安定と世界秩序に不可欠。
  • 米韓同盟70周年を機に「グローバル同盟」へと格上げされ、インド太平洋の平和に寄与する役割が強調された。
6. 日本の国難と使命
  • 内なる国難少子高齢化)と外なる国難(安全保障環境の変化)に直面。安倍元首相は「国難突破」を訴えたが、未解決の課題として残る。
  • ウクライナ戦争で国連の無力さが露呈し、日本人に集団安全保障の重要性を再認識させた。
  • 日本は伝統的価値観と家庭・国家を守りつつ、世界を繋ぐ「平和大使」としての使命を果たすべき。
7. 結論:令和の日本のビジョン
  • 昭和の経済成長、平成の停滞を経て、令和の日本は新たな国家ビジョンが必要。
  • 日本と韓国が連携し、米韓同盟や日米韓協力で世界の平和秩序を支える役割が期待される。
  • 共産主義思想の浸透に警鐘を鳴らし、国民意識を覚醒させることが急務。平和大使運動がその旗揚げとなる。