なぜ幸福実現党は家庭連合への解散命令に反対なのか?
2025年3月25日、東京地裁が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に対して解散命令を下した。これに対し、幸福実現党は「信教の自由の侵害であり、事実上の宗教弾圧」とする声明を発表し、強い反対姿勢を示した。本稿では、同党がこの解散命令に反対する理由を紐解きつつ、今後の政府による宗教潰しのリスクや、中国共産党のような宗教弾圧国家への転落の危険性、そして具体的な死傷者数を交えたウイグルジェノサイド、チベット、法輪功への弾圧の凄惨さ、共産主義一党独裁国家が自国民を粛清する恐ろしさを項目ごとに検討する。
本日、東京地裁から旧統一教会に解散命令が出ました。これに対して幸福実現党は 以下のような「旧統一教会への解散命令は『信教の自由』の侵害である」との声明を出しました。…
— 幸福実現党@HRP (@hr_party_TW) 2025年3月25日
幸福実現党の反対理由
幸福実現党は、旧統一教会への解散命令が憲法で保障された「信教の自由」を侵害すると主張する。声明では、オウム真理教のような「刑法上の組織犯罪」が認められていないにもかかわらず、民法上の不法行為を解散事由に含める法令解釈が採用された点を問題視している。この解釈は国家が宗教活動に介入する不当な前例を作り出すものだ。また、宗教の正邪を国家が判断するのではなく、「どれだけ人を幸福にしたか」という成果で市場原理に委ねるべきとの立場を強調する。さらに、「信教の自由」は「人権中の人権」と位置づけられ、これを奪うことは内心の自由や言論の自由の抑圧に繋がると警告する。戦前の宗教弾圧が市民への弾圧に拡大した歴史を例に、こうした動きが再現される懸念も示している。
今後、政府による宗教潰しが容易になるリスク
今回の判決が民法上の不法行為を根拠に解散命令を認めた初のケースであることは、国家が宗教団体を解散させるハードルを大幅に下げる可能性を秘めている。従来、解散命令は明確な刑事犯罪が前提だったが、民法上の不法行為が含まれるとなれば、政府は曖昧な基準を盾に恣意的な判断で宗教団体を標的にできる。幸福実現党が指摘するように、政府が都合よく宗教を政治利用し、不要とみなせば弾圧する道が開かれかねない。これにより、宗教活動への監視や規制が強化され、実質的な「宗教潰し」が日常化する恐れがある。
中国共産党のような宗教弾圧国家になるリスク
中国共産党は、宗教を国家統治の障害とみなし、徹底的な弾圧を展開してきた。その手法が日本に忍び込むリスクは、今回の判決で現実味を帯びる。中国では、政府のイデオロギーに従わない宗教団体が解散や活動禁止に追い込まれ、信者は投獄や拷問、殺害に直面している。幸福実現党は、日本が「無神論・唯物論国家」に堕すれば、信教の自由が形骸化し、内心の自由まで奪われると警鐘を鳴らす。戦前の日本でも、国家神道を押し付ける一方で他の宗教を弾圧した歴史がある。今回の判決が、政府に宗教への介入を正当化する口実を与えれば、中国のような統制国家への道を歩み始める危険性は否定できない。
ウイグルジェノサイドの卑劣さ
中国共産党によるウイグル族への弾圧は、国際社会で「ジェノサイド」と認定されるほどの規模に達している。明確な死傷者数の公式統計は中国政府が隠蔽しているため不明だが、チベット亡命政府や西側諸国の推計では、100万人以上が収容所に拘束され、数十万人が死亡した可能性が指摘されている。例えば、2017年以降の「再教育キャンプ」では、拷問や強制労働、性的暴行が日常化し、生存者の証言から少なくとも数千人が殺害されたと報告されている。さらに、女性への不妊手術や強制結婚が民族浄化の手段として行われ、出生率が急減している。この凄惨さは、人間性を完全に無視した共産主義政権の冷酷さを象徴する。
チベット弾圧
チベットでは、1950年代の中国侵攻以降、チベット亡命政府の主張によれば約120万人が中国共産党によって殺害されたとされる。特に1959年のチベット動乱では、約8万7000人が死亡し、文化大革命期には寺院の97%が破壊され、僧侶や尼僧の9割以上が還俗を強いられた。生存者への拷問や強制収容も常態化し、文化的アイデンティティが根こそぎ奪われた。この120万人という数字は、チベット人口の約3分の1に相当し、共産主義一党独裁が自国民をどれだけ残忍に粛清するかを示す生々しい証拠だ。
法輪功弾圧
法輪功に対する弾圧は1999年に始まり、中国政府の公式発表はないものの、海外の人権団体や法輪功側の推計では、数千人から数万人が殺害されたとされる。特に強制臓器摘出が問題視されており、2006年の調査では少なくとも4万件の臓器移植が法輪功信者から行われた可能性が指摘されている。電気ショックや拷問で仮死状態にされた後、生きたまま臓器を摘出され、遺体は証拠隠滅のために焼却されるケースも報告されている。この非道さは、共産主義政権が自国民を単なる「資源」と見なし、命を奪うことに何の躊躇もないことを物語る。
共産主義一党独裁国家は、権力維持のためなら自国民を容赦なく粛清する歴史を繰り返してきた。毛沢東時代の大躍進政策では3000万~5000万人が餓死し、文化大革命では200万人が殺害されたとされる。ウイグル、チベット、法輪功への弾圧もこの延長線上にあり、反対意見を持つ者を根絶やしにする冷徹さが際立つ。こうした国家は、個人的人権を認めず、異端者を「国家の敵」とみなして抹殺する。その恐ろしさは、死傷者数の膨大さだけでなく、生き残った者への精神的・肉体的破壊にも表れる。自由や信仰を奪われた人々は、生きながらにして人間性を剥奪されるのだ。
今回の判決でその一歩になるリスク
東京地裁の判決は、民法上の不法行為を根拠に解散命令を認めたことで、国家の宗教介入に法的正当性を与えた。この先例が定着すれば、政府は宗教団体の活動を「不法行為」と認定するだけで解散を強制できる。旧統一教会の場合、高額献金や霊感商法が問題視されたが、これらが組織的かつ継続的だったと裁判所が判断した基準は曖昧さを残す。今後、政府が気に入らない宗教団体を同様の手法で潰すことが容易になり、幸福実現党が恐れる「宗教弾圧国家」への第一歩となり得る。特に、政治的圧力や世論に影響されやすい状況下では、客観的な判断が歪められ、弾圧が加速する危険性が高まる。
自由と民主主義の存続リスク