「暗殺テロの暴力が絶対に勝ってはいけない」- 浜田聡議員、家庭連合解散命令反対とその理由

参議院議員・浜田聡が旧統一協会(世界平和統一家庭連合、以下家庭連合)への解散命令に反対する立場を明確に示している。その核心は、2022年7月8日に発生した安倍晋三元首相暗殺事件に端を発する一連の動きが、解散命令の決定に結びついた経緯にある。浜田は2025年3月25日の動画で、「旧統一協会への解散命令が地裁で決定したことは、山上徹也による暴力による活動が成功したことになる。つまり今回の結果を喜ぶことは、山上容疑者によるテロを肯定することに他ならない」と述べ、テロ行為が社会変革を促した前例を作ることへの強い懸念を表明した。
この事件の背景には、山上徹也容疑者が母親の多額の献金によって家庭連合に恨みを抱き、関連団体であるUPF(Universal Peace Federation)のイベントに安倍元首相がビデオメッセージで出演した事実を知ったことが動機として挙げられている。文芸春秋2025年4月号のインタビューで、国際勝共連合(以下、勝共連合)の梶栗正義会長は、山上の動機がこの映像に結びついたとされる点について、「なぜ殺意が安倍先生に向かったのか、私の中で結びつかない」と困惑を隠さなかった。浜田はこの点を捉え、解散命令がテロリストに「成功体験」を与える危険性を指摘。暴力による政治的圧力が法的な判断に影響を及ぼすことは、法治国家として看過できない問題だと位置づけた。
さらに、浜田議員は解散命令請求の法的根拠にも疑問を投げかける。通常、宗教法人の解散命令は、戦後ではオウム真理教や明覚寺のように刑事事件が根拠となるケースに限られてきた。しかし、家庭連合の場合は刑事罰がなく、民法上の不法行為を根拠とする初の試みである。2023年10月、岸田文雄政権下で解散命令請求が決定された背景には、小西洋之参議院議員との予算委員会での議論を経て、解釈変更が一夜にして行われた経緯がある。浜田議員はこれを「メディアの圧力と政治的思惑による拙速な判断」と批判し、宗教の自由を保障する憲法に抵触する可能性を指摘した。フランスの弁護士パトリシア・デュバルとの対談でも、国際人権法の観点から「公共の福祉」を理由に少数宗教を制限することは許されないとの見解が示され、浜田の主張を裏付けた。
浜田議員の反対理由は、単なる法的手続きの問題を超え、テロが社会を動かす前例を作ることへの深い危機感に根ざしている。山上事件を契機とした解散命令が確定すれば、暴力が正義を勝ち取るという誤ったメッセージが社会に浸透しかねない。それを阻止するため、浜田議員は高裁での争いを見据えつつ、国民にこの問題の本質を知らせる活動を続けている。
家庭連合信者への拉致監禁被害:後藤徹氏の事例
浜田聡が繰り返し取り上げる家庭連合信者への拉致監禁被害は、特に後藤徹の事例を通じてその深刻さが浮き彫りとなっている。後藤氏は家庭連合の信者であり、1995年から2008年までの12年5ヶ月にわたり、家族や脱会支援者によって拉致監禁され、脱会を強要された。この期間、痩せ細り、衝撃的な写真がX上で公開されている。浜田は2025年2月2日の動画で、「12年5ヶ月もの監禁は想像を絶するスケールであり、現在の日本でこうした人権侵害が起こっていることが信じられない」と驚愕した。
家庭連合によると、1966年以来、信者4300人以上が同様の拉致監禁被害に遭っており、後藤氏はその代表例とされる。2014年7月24日、国連自由権規約人権委員会は日本の強制改宗問題に懸念を表明し、政府に勧告を行った。浜田議員はこれを引用し、「この深刻な人権侵害の事実を多くの人に知ってほしい」と訴えた。後藤自身のXプロフィールでも、「全国拉致監禁強制改宗被害者の会代表」として活動し、被害の実態を公表している。
拉致監禁の背景には、家族が「とんでもない宗教をやめさせたい」という思いから、脱会支援者(通称「脱会屋」)に依頼するケースが多い。後藤氏の場合、監禁を主導したのは宮村峻とされる。浜田は2024年4月9日の動画で、後藤から提供された資料を紹介し、「宮村は最高裁で違法性が確定した人物であり、家庭連合信者に対する拉致監禁の中心人物だった」と指摘。後藤は親族を相手取った訴訟で勝訴し、2200万円の賠償が確定しているが、こうした事実がメディアでほとんど報じられていない点を問題視した。
浜田議員は、この拉致監禁被害が4300人規模で発生しているにもかかわらず、旧統一協会の金銭トラブルや合同結婚式ばかりが報道され、信者側の被害が無視されてきたと主張。2024年3月5日の動画では、「統一協会からの被害は嫌というほど報道されたが、信者への拉致監禁被害は全然扱われていない」とメディアの偏向を批判した。このアンバランスな報道姿勢が、後藤氏のような被害者をさらに孤立させ、人権侵害を隠してしまう構造を生み出していると浜田議員は見ている。
後藤氏の事例は、単なる個別の事件ではなく、組織的な人権侵害の一端を示す。浜田議員はこれを国会で取り上げ、質問主意書を通じて政府の見解を求め続けているが、メディアや他政党の関心が薄いことに疑問を隠さない。拉致監禁被害の実態を明らかにすることは、宗教の自由と人権を守るための喫緊の課題と位置づけられている。
鈴木エイト後藤徹名誉毀損裁判の敗訴:メディアの責任と真実の歪曲
ジャーナリスト鈴木エイトが後藤徹を名誉毀損で訴えられた裁判で敗訴したことは、浜田議員にとってメディアの偏向報道と責任を問う象徴的な事例となった。2025年2月2日の動画で、朝日新聞の報道を引用しつつ、「鈴木エイトが後藤徹の12年5ヶ月の拉致監禁を『引きこもり』と発言したことが名誉毀損と認められ、11万円の賠償命令が下された」と詳細に紹介した。東京地裁は2024年1月31日、鈴木の記事の一部が後藤氏の社会的評価を低下させる違法なものと判断した。
この裁判では、鈴木が後藤氏について「12年間に及ぶ引きこもり生活の末、裁判で2000万円をゲットした」と記述したブログ記事(やや日ブログ)や、テレビ番組「ミヤネ屋」での発言が争点となった。後藤側は、拉致監禁という事実を「引きこもり」と歪曲したことが名誉毀損に当たると主張。裁判所は5つの発言のうち2つ(ブログとミヤネ屋の発言)が真実性・真実相当性を欠き、不法行為を構成すると認定した。浜田は裁判資料を引用し、「拉致監禁を『引きこもり』と表現するのはさすがにひどすぎる」と鈴木の姿勢を批判した。
鈴木は控訴の意向を示し、「踏み込んだ批判が名誉毀損に当たるのは納得いかない」と反発したが、浜田議員は「公共の電波を使った発言が認められた以上、テレビ局側の責任も問われるべき」と指摘。特にミヤネ屋での発言がテレビで放送された点を重視し、参議院総務委員会で取り上げる可能性に言及した。後藤氏の弁護を担当した中山達樹弁護士のXポストも紹介され、「5つのうち2つで不法行為が成立」との分かりやすい図解が示された。
この裁判は、メディアが家庭連合信者の被害を軽視し、逆に加害者側を擁護する傾向を浮き彫りにした。浜田議員は、鈴木がオールドメディア側の人間であるため主要メディアが積極的に報じなかったと推測しつつ、朝日新聞が取り上げたことに一定の評価を与えた。しかし、メディア全体の責任として、「拉致監禁被害を隠蔽し、真実を歪曲する報道が許されない」と強調。鈴木の敗訴は、メディアが事実を正確に伝える義務を果たさなかった結果とも言える。
後藤側は認められなかった部分についてさらなる裁判を検討し、鈴木も控訴を予定しており、争いは続く見込みだ。浜田議員はこの事例を通じて、メディアの偏向と無責任な報道が人権侵害を助長する危険性を訴え、国民に真実を知るよう呼びかけている。
浜田議員が家庭連合信者への拉致監禁問題で特に問題視するのは、脱会屋の中心人物・宮村峻と立憲民主党の関係、そしてTBS報道特集による偏った報道である。宮村は、後藤徹氏を含む多くの信者を拉致監禁し、脱会を強要した人物として知られ、その違法性は最高裁で確定している。浜田議員は2024年4月9日の動画で、「宮村峻は家庭連合信者に対する拉致監禁の中心人物であり、立憲民主党と繋がっている」と指摘し、この関係性が人権侵害を隠してしまう構造を生んでいると主張した。
2024年3月5日の動画では、後藤がTBSに提出した2022年9月の抗議文を引用。「記者は家庭連合信者が違法な拉致監禁被害に遭ってきた事実をほとんど報道せず、私を監禁した宮村峻を出演させながら、その非人間的な人権侵害について謝罪させず、家庭連合への一方的な批判を公共の電波で流した」との内容が紹介された。浜田議員はこの抗議文を質問主意書の題材とし、放送法4条の政治的公平性を根拠にTBSの報道姿勢を問題視。政府に対し、後藤の12年5ヶ月監禁に関する見解や、TBSの対応、放送法違反の有無を問うた。
TBS報道特集(2022年8月27日放送)では、宮村が被害者として出演し、拉致監禁の事実が隠蔽されたどころか、真逆の印象を与える内容が放送された。浜田は「加害者が被害者として扱われ、信者の人権侵害が無視された」と問題視した。この偏向報道が立憲民主党と宮村の関係に裏打ちされている可能性を指摘し、「立憲民主党が拉致監禁に関与していると言っても過言ではない」と断じた。宮村は立憲民主党の議員会館に招かれ、レクチャーを行っていた事実も明らかになっており、これを「異常な人権侵害を黙認する政党の姿勢」と批判した。
浜田議員の主張は、メディアと政治勢力が結託し、家庭連合信者の被害を隠してしまう構図を暴くものだ。TBSの報道が放送法に違反するかどうかは未回答だが、浜田議員は公共の電波を使った偏向報道が国民の知る権利を奪うと警告。宮村と立憲民主党の関係を追及することで、人権侵害の全貌を明らかにする決意を示している。
浜田議員が家庭連合や勝共連合を擁護する背景には、これらの団体と敵対する勢力――全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)、共産党、立憲民主党――との明確な対立がある。勝共連合は1968年の創設以来、「共産主義に勝つ」を掲げ、スパイ防止法制定や憲法改正を運動方針とする政治団体だ。2024年7月14日の動画で、勝共連合の決起大会に参加したことを報告し、「共産党非合法化を提案した私と政策面で親和性がある」と述べた。
全国弁連は、家庭連合の解散命令請求を支持する立場から、霊感商法被害を強調する活動を展開。2024年4月9日の動画で、全国弁連を「家庭連合の敵対勢力」と位置づけ、その主張が過去のトラブルに偏重していると批判。徳永新一弁護士のXポストを引用し、「2009年のコンプライアンス宣言以降、被害はほぼない。解散命令の要件である継続性が欠けている」とのデータを示した。浜田議員はこれを支持し、全国弁連の活動が事実を歪曲していると見なした。
共産党との敵対は、勝共連合の設立目的に直結する。浜田議員は2023年3月の参議院予算委員会で、「G7各国では共産党が非合法化されている。日本も検討すべき」と発言し、共産党を牽制。勝共連合のウェブサイトには、「日本共産党の暴力革命100年史」と題する記事が掲載され、共産党の過去のテロ行為が詳細に記されている。浜田議員はこれに共感し、「共産党と対峙する団体として勝共連合の役割は重要」と評価した。
立憲民主党との対立は、脱会屋・宮村峻との繋がりに端を発する。2025年3月10日の動画で、文芸春秋2025年4月号を引用し、「野田佳彦代表がかつて勝共連合の選挙応援を受けていたが、今は批判に転じている」と矛盾を指摘。宮村との関係に加え、立憲民主党が家庭連合信者の拉致監禁を隠蔽してしまう姿勢を「許しがたい」と非難した。2024年7月14日の動画でも、「立憲民主党が脱会屋と強く繋がっていることを知って以来、この問題を追及している」と明言。
浜田議員にとって、勝共連合と敵対するこれら勢力は、家庭連合信者の人権侵害を無視し、政治的思惑で解散命令を推し進める存在だ。全国弁連の過去重視、共産党のイデオロギー対立、立憲民主党の脱会屋との癒着――これらが絡み合い、浜田議員は勝共連合との理解を深めつつ、共産主義勢力との闘いを続けている。