世界平和統一家庭連合(以下、家庭連合、旧統一教会)に対する解散命令が2025年1月31日に東京地方裁判所で認められたことで、宗教団体の存続を巡る議論が過熱している。しかし、この解散命令をきっかけに衝撃的な事実が浮かび上がってきた。25年以上前の2000年(平成12年)に国会で既に問題視されていた家庭連合信者への拉致監禁被害が、実は解散命令の証拠の過半数を占めていたというのだ。この事実は、解散命令の正当性に新たな疑問を投げかけるとともに、長年放置されてきた人権侵害の実態を改めて浮き彫りにしている。

2000年、国会で提起された拉致監禁問題
2000年4月20日、衆議院決算行政監視委員会において、自民党の桧田仁衆議院議員(当時)が、警察庁の田中節夫長官(当時)に対し、家庭連合信者への拉致監禁問題を厳しく追及した。桧田議員は、約20年間にわたり年間約300人、総計4000人以上ともされる信者が、親族や一部の牧師、元警察官を含む組織的集団によって拉致監禁され、強制的に信仰を捨てさせられる被害に遭っていると指摘。この行為を「国家に対する重大な挑戦」と位置づけ、法の下での平等な保護と信教の自由が脅かされている実態を訴えた。
桧田議員の発言の一部を抜粋する:
田中長官は「全国の幾つかの県警察において、統一教会の信者から被害申告あるいは相談がなされたということは承知している」と認めつつ、「刑罰法令に触れる行為があれば、法と証拠に照らし、厳正に対処する」と回答。しかし、具体的な対策は示されず、問題はその後も放置された。
解散命令の証拠に隠された衝撃の真実
解散命令が下された2025年1月31日、文部科学省が東京地裁に提出した陳述書が判決の根拠とされた。しかし、関係者への取材や一部報道によると、この陳述書に含まれる証拠の過半数が、家庭連合信者への拉致監禁被害に関連するものだったという。具体的には、拉致監禁によって強制的に脱会させられた元信者の供述や、それに関与した「脱会屋」と呼ばれる人物らの証言が含まれていた。これらの証拠は、家庭連合が組織的に違法行為を行ったとする主張を裏付けるものとして提出されたが、逆に拉致監禁そのものが違法行為であるとの批判が浮上している。
例えば、後藤徹氏は12年以上にわたり監禁された被害者として知られ、裁判で勝訴判決を得ているが、こうしたケースが解散命令の証拠に利用された可能性がある。この事実は、解散命令が信者への人権侵害を見過ごし、むしろそれを利用して団体を潰す方向に進められたことを示唆する。

25年後の現在と解散命令後の状況
解散命令後も、家庭連合信者への拉致監禁被害は報告されており、被害者数は4300人を超えるとも言われている。立憲民主党が家庭連合対策として、拉致監禁に関与したとされる宮村峻を招いたことが問題視され、同党の有田芳生氏が彼を党内に引き入れたことで、拉致監禁を黙認・支援しているとの疑惑が浮上。家庭連合側は「信教の自由への挑戦」と抗議しているが、解散命令後の状況ではその声が届きにくい現実がある。
解散命令に至る経緯と国会での追及
浜田聡参議院議員(NHK党)は、解散命令請求の過程でこの問題を追及してきた。2024年3月12日の参議院総務委員会や複数の質問主意書で、手続きの不透明さや拉致監禁問題の放置を指摘。特に、文科省の陳述書に虚偽が含まれていたとの報道を受け、2025年1月22日にXで問題提起したが、文化庁は「非訟事件手続法に基づき非公開」と回答を避けた。主要な質問主意書には以下が含まれる:
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令和7年2月7日提出: トランプ次期大統領の宗教顧問ポーラ・ホワイト牧師が解散命令に反対意見を表明した件
なぜ問題は解決しないのか?
拉致監禁問題が40年以上解決しない背景には、以下の要因がある:
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警察の消極姿勢: 2000年に田中長官が被害を認めながらも具体的な行動を取らなかったように、警察は一貫して見て見ぬふりを続けてきた。
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メディアの偏向: 拉致監禁問題は一部報道を除きほとんど取り上げられず、一般の認知度が低いままとなっている。
今後の展望と国民への問いかけ
解散命令の証拠に拉致監禁被害が含まれていたという衝撃の真実は、判決の正当性に大きな疑問を投げかける。団体としての法的地位を失う家庭連合だが、信者への人権侵害は未解決のままである。桧田議員が2000年に訴えた「法の下の平等」と「身の安全の保障」は、25年経った今も実現されていない。国民に問いたい。組織的な拉致監禁が続き、被害者が4300人を超える状況をこのまま見過ごしていいのか。
国家が特定の宗教団体を解散させるために、信者への違法行為を利用する姿勢は正義と言えるのか。解散命令が出た今こそ、この問題の歴史的背景と真実に向き合うべきではないだろうか。