西岡力氏「解散命令は信教の自由を侵す―旧統一協会問題」まとめ

西岡力氏の「【第1240回】解散命令は信教の自由を侵す―旧統一協会問題」(2025年3月31日掲載)は、東京地裁が世界平和統一家庭連合(旧統一協会)に対して下した解散命令決定(3月25日)を批判的に論じた文章である。以下に要約を示す。
  1. 解散命令と信教の自由の制限
    東京地裁の解散命令により、日本の信教の自由が大きく制限されたと西岡氏は主張する。家庭連合の教義に同意しないものの、長年宗教法人として活動してきた団体が、政府の解釈変更と遡及適用によって解散を迫られる事態に恐怖を感じると述べる。
  2. 政府の解釈変更とその適用
    従来、宗教法人法の解散要件は刑法違反に限定されていたが、安倍元首相暗殺後のメディアの批判キャンペーンを受けて、岸田首相が民法上の不法行為も含むと解釈を変更。この変更が過去に遡って適用され、解散請求に至ったと指摘する。
  3. 地裁の判断の問題点
    地裁は民事訴訟での敗訴や示談での献金返還を「法令違反」と認定し、解散を正当化する。しかし、示談には自発的献金後に事情が変わったケースも含まれており、これを法令違反とする根拠に疑問を呈する。
  4. 拉致監禁問題の無視
    家庭連合の弁護士によれば、民事訴訟を起こした元信者の88%が拉致監禁で棄教を強要されたと主張する。例として、後藤徹氏の12年5ヶ月の監禁事件を挙げ、確定判決で認められた拉致監禁の事実が地裁で無視されたと批判する。
  5. 信教の自由の擁護
    西岡氏はプロテスタント信者として家庭連合の教理に反対だが、彼らの信教の自由は守られるべきと強調する。強制脱会者の証言を解散の証拠に使うのは国際的常識に反すると結論づける。
この論考は、解散命令が法的手続きや信教の自由の観点から問題があるとし、上級審の判断に注目する姿勢を示す。