山口敬之氏: 「民主主義国家ならば山上徹也にリワードを与えては絶対にいけない」- リワード(reward)とは?解散命令判決を痛烈批判

山口敬之氏: 「民主主義国家ならば山上徹也にリワードを与えては絶対にいけない」- リワード(reward)とは?解散命令判決を痛烈批判

 

「リワード(reward)」とは?
山口敬之氏が言う「リワード」とは、テロ行為を行った者に与えられる報酬や利益を意味する。具体的には、山上徹也が安倍晋三元首相を暗殺した結果として統一協会(世界平和統一家庭連合)に対する解散命令が出た状況がこれに該当する。つまり、テロが目的を達成したと見なされること自体が「リワード」であり、テロリストにとって「成功」の証となるのだ。
山口氏は、これが新たなテロを誘発する危険性を孕んでいると強く警告する。テロリストが報酬を得られると感じれば、彼らの行動が正当化され、さらなる暴力が引き起こされる可能性があるからだ。
一般的に「リワード(reward)」とは、テロリストが求める具体的な報酬や利益を指す。身代金の支払い、政治的譲歩(例えば政策の変更や囚人の釈放)、あるいはテロ行為を通じて彼らの主張やイデオロギーが広く認知されることなどが含まれる。テロリストにとって、これらは自分たちの行動が「成功した」と見なされる証であり、さらなる動機付けとなる。特に金銭的報酬やメディアでの注目は、テロ組織の資金源や宣伝手段として機能し、彼らの活動を強化する危険性がある。山口氏の主張では、山上のテロが統一協会の解散命令という形で報われたとすれば、それはテロリストに「暴力が成果を上げる」という誤ったメッセージを送ることになる。
解散命令判決への痛烈な批判
山口氏は、裁判所が統一協会に対して下した解散命令を、民主主義国家の根幹を揺るがす誤った判断だと断じる。氏はこう訴える。「統一協会の解散命令が安倍暗殺を起点に下されたなら、山上のテロは昨日をもって成功したことになる。民主国家では、どんなテロであっても報酬を与えないのが絶対に揺らいではならないルールだ」。
この判決が、テロ行為に実質的な成果を与えたと見做されれば、暴力が報われるという誤ったメッセージを社会に送ることになると氏は懸念する。テロリストが目的を達成したと認識すれば、それが模倣犯を生み出し、さらなる混乱を招く危険性があると警告するのだ。
山口氏は具体的な例を挙げてこの問題を強調する。「例えば、創価学会が気に入らないから誰かを殺せば、同じように解散命令が出るかもしれないと考える者が現れるかもしれない」と指摘する。このような思考が広がれば、社会は暴力に支配され、秩序が崩壊する恐れがある。「そんな世の中は間違っている」と氏は断言し、テロに報酬を与えるような判決が連鎖的な暴力を生み出すと痛烈に批判する。民主主義国家がテロリストに屈するような前例を作れば、正義や法の支配が失われ、暴力が正当化される道を開くことになると氏は強く訴える。テロに報酬を与えることは、単なる一時的な妥協ではなく、社会全体を危険に晒す行為だと山口氏は見なしている。
さらに、氏はこの判決が民主主義の原則に対する裏切りだと捉える。テロ行為が成果を上げたと見なされれば、民主的なプロセスや法的手続きを通じて解決すべき問題が、暴力によって解決されるという誤った認識が広がる。
これは、民主主義国家が掲げる平和と秩序の理念を根底から覆すものだ。山口氏は、テロリストに「リワード」を与えることがどれほど深刻な結果を招くかを繰り返し強調し、裁判所の判断が間違っていると確信している。もしこの判決が正しいと認められれば、テロが有効な手段として認知され、さらなる暴力が連鎖的に発生するだろうと氏は予測する。
なぜ欧米ではテロリストに「リワード」を与えてはいけないのか
欧米諸国では、テロリストに「リワード」を与えることが厳しく禁じられている。その理由は、テロに報酬を与えることが暴力の連鎖を引き起こし、社会の安定を根底から揺るがすからだ。例えば、イギリスでは、テロリストへの身代金支払いを違法とする法律が存在する。1970年代のテロ対策法(Terrorism Act)を基盤に、テロ組織への資金提供がさらなる攻撃を助長すると考え、こうした行為を厳しく取り締まっている。この法律では、テロ活動に関連する資金提供が犯罪とされ、たとえ人質の命を救うためであっても身代金の支払いは認められない。英国政府は、テロリストに金銭的報酬を与えることが、彼らの活動を強化し、新たなテロを誘発すると明確に認識している。
アメリカも同様に、テロリストへの譲歩を避ける方針を堅持する。米国政府は公式に「テロリストとは交渉しない」という立場を表明しており、身代金支払いや政治的妥協を禁じることで、テロリストが報酬を得る期待を断ち切ろうとしている。これにより、テロ行為が無駄であると示し、抑止力を高める狙いがある。テロリストが報酬を得られないと分かれば、暴力に訴える動機が削がれるという考えだ。こうした方針は、民主主義国家が暴力に屈しない姿勢を貫くための基盤となっている。
さらに、報道においても、テロリストの主張を過剰に取り上げない自主規制が見られる。例えば、ニュージーランドでは、2019年のモスク襲撃事件の裁判で、主要メディアがテロリストの過激思想を宣伝する発言や文書を報道しないガイドラインに合意した。これは、テロリストが求める注目という「リワード」を与えないための措置だ。メディアがテロリストの主張を拡散すれば、彼らのイデオロギーが広まり、支持者を増やす可能性がある。これを防ぐため、報道機関は自主的にテロリストの宣伝に加担しない姿勢を取る。
報酬を与えたら暴力によるテロが連鎖する理由とは?
テロリストに「リワード」を与えることは、暴力の連鎖を引き起こす最悪の行為であり、断固として非難されるべきだ。まず、身代金が支払われれば、その資金は新たな武器の購入やメンバーの募集に使われ、テロ組織の活動が拡大する。過去に身代金を受け取った組織がその資金でさらなる攻撃を計画した事例は枚挙に暇がない。これは、テロリストに「暴力が報われる」という誤ったメッセージを送り、彼らの行動を正当化する結果となる。山口氏が懸念するように、山上のテロが解散命令という形で報われたとすれば、他の者も同様の手段に訴える可能性が高まる。
次に、政治的譲歩やメディアでの露出が与えられれば、テロリストは自分たちの主張が認められたと錯覚し、さらなる要求をエスカレートさせる。これは社会に恐怖を植え付け、平和を破壊する連鎖反応を引き起こす。例えば、人質解放のために囚人を釈放すれば、その釈放された人物が再びテロを主導する可能性が高まり、被害が拡大する。山口氏が指摘する「創価学会を標的にしたテロが起きるかもしれない」という例は、まさにこの連鎖の危険性を示している。
最悪なのは、こうした「リワード」がテロを「成功モデル」として他の潜在的テロリストに示してしまうことだ。一人が報酬を得れば、他の者も「暴力を使えば目的が達成できる」と学び、模倣犯が続出する。この連鎖は、無垢な市民の命を奪い、社会の安定を根底から揺るがす極めて悪質な結果を招く。歴史を振り返れば、テロリストへの譲歩が新たな攻撃を誘発した例は数多い。1970年代のハイジャック事件での妥協がさらなる事件を増やしたことは、その一例だ。山口氏は、統一協会の解散命令がこのような連鎖を助長する前例になると強く非難する。
民主主義国家の絶対的なルール
山口氏は、民主主義国家における「テロに報酬を与えない」というルールが、どんな状況でも揺らいではならないと主張する。このルールは、単なる方針ではなく、民主主義の存立を支える根本的な原則だ。テロリストが暴力によって目的を達成できると信じれば、法の支配や平和的な対話が無意味なものとなり、社会は混沌に陥る。山口氏は、統一協会の解散命令が山上のテロを「成功」と見なす結果になったとすれば、それは民主主義に対する明確な裏切りだと断じる。テロに屈することは、暴力が正義を凌駕することを認めるに等しい。
このルールを守ることは、市民の安全と社会の安定を守るための最後の砦だ。山口氏は、テロリストに報酬を与えることがどれほど危険かを繰り返し訴え、裁判所の判断がこの原則を無視したものだと批判する。もしテロが報われる前例が作られれば、誰かが気に入らない団体や個人を攻撃するたびに、社会がその要求に応じる悪循環が生まれるだろう。山口氏は、「こんな世の中は間違っている」との言葉に、民主主義を守る強い意志を込める。
結論: 民主主義の根幹を揺るがす危険性
山口氏は、統一協会解散命令が山上徹也のテロに「リワード」を与えたと捉え、これを民主主義国家の原則に対する裏切りだと非難する。テロに報酬を与えることは、彼らの力を増強し、暴力を正当化し、果てしないテロの連鎖を生み出す行為だ。
イギリスやアメリカ、ニュージーランドなどの国々がこれを禁止するように、民主主義国家はテロリストに屈してはならない。山口氏は、裁判所の判断が間違っていると強く主張し、テロリストに成果を与えるような判決が連鎖的な暴力を生み出すと痛烈に批判する。「民主主義国家ならば山上にリワードを与えては絶対にいけない」との信念のもと、氏はこの判決が民主主義の根幹を揺るがすものだと警告する。
テロが報われる社会は、秩序も正義も失われた誤った世界だと山口氏は断じる。この悪循環を断ち切るため、民主主義の原則を貫く姿勢が不可欠だと氏は訴える。