日本は全拉致被害者の即時全員帰国をどう実現するか:金正恩、安倍晋三、トランプと北朝鮮情勢(救う会 東京連続集会132)

日本は全拉致被害者の即時全員帰国をどう実現するか:金正恩安倍晋三、トランプと北朝鮮情勢(救う会 東京連続集会132)
北朝鮮による日本人拉致問題は、1970年代から1980年代に少なくとも17名が拉致された国家主権の侵害であり、未解決の人権問題だ。2024年2月、拉致被害者有本恵子さんの父、明弘さんが96歳で逝去。家族会の親世代は横田めぐみさんの母、早紀江さん(89歳)のみとなり、時間的制約が迫る。家族会と救う会石破茂首相に「親世代存命中の全拉致被害者の即時全員帰国」を求めたが、進展は遅い。北朝鮮金正恩、日本のかつての指導者安倍晋三、米国のドナルド・トランプを中心に、最新情勢を踏まえ、解決への道を分析する。

最新の北朝鮮情勢:金正恩の孤立と交渉の好機
2024年4月18日の東京連続集会132で、救う会会長・西岡力金正恩政権の国際的孤立を指摘し、日本との交渉の可能性を示した。主な情勢は以下の通り。
  • 中国との関係悪化:2023年5月、中国は金正恩ファミリー用の贅沢品を積んだ貨物船を臨検・没収。2024年4月15日、北京の北朝鮮大使館を封鎖し、金日成生誕祝賀行事を妨害。金正恩は中国の後ろ盾を失いつつある。
  • 韓国との断絶:2023年初頭、金正恩は韓国を「同じ民族ではない」と宣言し、統一を放棄。韓国の豊かさや自由を住民が知り、情報流入を恐れて交渉を拒否。日本が「出口」としての重要性が増す。
  • ロシアへの依存と限界金正恩はロシアに兵士や武器を提供し、食料や資金を得るが、ロシアの経済力は弱く、ウクライナ戦争の疲弊で支援は限定的。北朝鮮の経済困窮は続く。
  • トランプ政権の再始動:2025年、トランプが再選し、米朝交渉再開を表明。2018年(シンガポール)、2019年(ハノイ)の米朝首脳会談金正恩と対話し、拉致問題を提起。2025年2月、石破首相との会談で協力を約束。金正恩は米国の軍事圧力を避け、日本からの支援を求める可能性が高い。
金正恩は「拉致問題は解決済み」と主張し、2002年に8人の死亡を一方的に通告。日本はこれを認めず、全員帰国を求める。孤立する金正恩にとって、日本の支援は魅力的なカードだが、時間稼ぎや曖昧な提案(例:連絡事務所設置)で交渉を遅らせるリスクがある。
金正恩、トランプ、安倍の役割と歴史
金正恩拉致問題の鍵を握る指導者
金正恩北朝鮮の監視国家を統括し、拉致被害者の所在地や状況を把握しているとされる。2018年・2019年のトランプとの会談で拉致問題の存在を認め、2019年ハノイでは安倍との対話準備を示唆(非公式)。しかし、2023年3月、妹の金与正が「日本と話さない」と発言し、交渉は停滞。金正恩は核・ミサイル開発を優先し、拉致問題を取引材料として利用する姿勢を見せる。経済困窮と国際的孤立が深まる中、2025年の米朝交渉で日本の支援を求める可能性があるが、全員帰国を認めない限り進展は難しい。
トランプ:拉致問題を動かす米国の力
トランプは2017年と2019年に家族会と面会し、拉致問題解決を約束。2018年シンガポール、2019年ハノイ米朝首脳会談金正恩拉致問題を提起。2019年には金正恩が安倍との対話に前向きな姿勢を示すきっかけを作った。2025年、トランプは再選後、米朝交渉再開を表明し、石破首相との会談(2025年2月)で拉致問題の優先を約束。トランプの動機は米国第一主義であり、北朝鮮の核・ミサイルが米本土に及ぶ脅威を排除することが優先だ。拉致問題は日本の問題と認識するが、安倍との友情や家族会の訴えで関心を持ち、交渉のテーブルに載せる可能性がある。ただし、具体的な人数や状況には疎く、日本側が明確な条件(全員帰国)を提示する必要がある。
安倍晋三拉致問題を国家課題に
安倍晋三は2006-2007年、2012-2020年の首相在任中、拉致問題を最重要課題とした。2006年、拉致解決を「全生存者の帰国」「真相究明」「実行犯引き渡し」と定義。トランプとのゴルフ会談(2017年)では「カートの中で拉致問題しか話さなかった」と語り、トランプに問題の重要性を刷り込んだ。2017年の米朝緊張時には、自衛隊による救出作戦を検討し、米軍の作戦計画(5029)に拉致被害者救出を組み込むよう米国と協議。2018-2019年の米朝会談でトランプが拉致問題を提起した背景には、安倍の執拗な働きかけがある。安倍は2020年に退任したが、家族会との深い信頼関係は今も日本の交渉姿勢に影響を与える。
日本が今すべき行動
拉致被害者の即時全員帰国を実現するため、以下の行動が急務だ。
  1. 石破首相の強いリーダーシップ
    石破は2025年2月、トランプに拉致問題の優先を求め、支持を得た。5月の訪米活動(4月29日~5月4日)では、家族会・救う会がトランプ政権に直接訴え、国会議員や外務省審議官が同行し、「全員帰国」の条件を明確化。石破は金正恩との首脳会談で、支援の条件(全員帰国)を毅然と伝え、時間稼ぎは許されない。
  2. トランプとの連携強化
    トランプは金正恩との交渉で拉致問題を提起する意向。家族会・救う会は5月の訪米でトランプ政権に「全員帰国が日本の支援条件」と訴え、トランプの関心を維持。石破はトランプに、拉致問題が日本の国益だけでなく、米国の対北戦略にも寄与すると強調。
  3. 金正恩への圧力と交渉戦略
    金正恩は日本の支援を欲するが、連絡事務所設置など曖昧な提案で誤魔化す可能性がある。石破は金正恩に対し、「親世代存命中の全員帰国」が支援の絶対条件と明示。外務省や公安調査庁は被害者の生存情報を収集し、交渉の武器にする。
  4. 国民運動の加速
    5月24日の国民大会を機に、署名活動を全国展開。救う会のウェブサイトから署名用紙をダウンロードし、若者や地域を巻き込む。メディアは横田早紀江さん(「47年間、娘の声が聞けない」)や有本明弘さんの闘いを伝え、国民の意識を再燃。
結論:時間がない、行動の時
有本明弘さんの逝去は、拉致問題の時間的制約を突きつけた。横田早紀江さんの願いは切実だ。金正恩の孤立とトランプの再始動は交渉の好機だが、成功には石破の決意と国民の後押しが不可欠。安倍の遺志を受け継ぎ、トランプの力を借りて、金正恩に全員帰国を迫る。政治家や官僚が動かないなら、家族会・救う会の運動方針を突きつけ、国民が声を上げる時だ。拉致被害者が故郷の土を踏む日を、親世代が生きているうちに実現しなければならない。
 
引用
  • 東京連続集会132(2024年4月18日)での西岡力会長、横田拓也代表、江崎道朗副会長の発言
  • 日本外務省:拉致問題の概要(2022年6月1日)
  • The Washington Post:拉致問題の継続性(2025年3月5日)

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