
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する政府の解散命令請求は、信教の自由と社会問題の解決を巡る議論を巻き起こしている。毎日新聞(2023年10月14日)のインタビューでは、2世信者・真哉(仮名、40代)が信仰の重要性と解散への懸念を語り、教団の問題を認めつつ自浄の姿勢を示した。
国際弁護士・中山達樹氏は、家庭連合のコンプライアンス改革と報道の偏りを指摘し、2世信者の自浄作用に期待を寄せる。
一方、毎日新聞は中国のプロパガンダ「チャイナ・ウォッチ」の掲載や中国関連の報道で注目され、中国の人権問題や宗教弾圧への敏感な姿勢も見られる。本記事では、2世信者の自浄作用、教団の現状、そして毎日新聞の報道姿勢と中国との関係を考察し、信教の自由と問題解決のバランスを探る。
2世信者の自浄作用:真哉の声
毎日新聞のインタビューで、真哉は家庭連合を「第一の家」と呼び、幼少期から育まれた信仰が精神的支柱だと語る。いじめを乗り越えた経験から信仰の価値を確信しつつ、高額献金や霊感商法の問題を「良くない」と認める。しかし、「祝福結婚」を通じた幸福を信じる教義を守りたいと訴え、子どもに信仰を強制しない「ゆる教」の姿勢を取る。この柔軟な態度は、親世代の熱心な信仰とは異なる現代的価値観に基づく自浄作用を象徴。真哉のような2世信者は、教団の問題を内省し、自由な選択を尊重する意識を通じて、改革の鍵となる。
弁護士の視点:コンプライアンス改革と報道の偏り
国際弁護士・中山達樹氏は、家庭連合の弁護を通じ、2009年のコンプライアンス宣言以降の内部改革を高く評価。民事・刑事裁判がほぼ発生していない現状を挙げ、教団がクリーンな運営を続けていると主張する。特に2世信者の現代的価値観が教団の未来を導くと期待。解散命令の法的根拠については、宗教法人法81条の「著しく公共の福祉に反する行為」や、組織性・悪質性・継続性の要件を満たさないとし、2017年の東京地裁判決でも解散不要とされた点を強調。オウム真理教のような極端な事例とは異なり、家庭連合に解散の必要性はないと結論づける。
中山氏はマスコミ報道の偏りも批判。レッテル貼りが横行し、2世信者の実態や改革が報じられていないと指摘。安倍晋三元首相銃撃事件後の過熱報道が2世信者の自殺を招いた事例を挙げ、偏った報道が人権侵害につながると警告する。国際人権規約が禁じるヘイトスピーチに該当する報道姿勢は、弁護士として看過できないと訴える。
2世信者の自浄作用の可能性
真哉の柔軟な信仰姿勢や中山氏が指摘する2世信者の価値観は、教団の自浄作用の鍵だ。1世信者の「濃い現役意識」と2世信者の考え方の違いを認め、対話を通じてコンプライアンスを強化することが、教団の社会共存を可能にする。中山氏は、献金強要防止の仕組みや2世信者の自由尊重意識が改革の成果だと評価。2世信者が教義を守りつつ問題行為を排除する姿勢は、教団の未来を切り開く。たとえば、真哉の子育て方針は、2世問題で指摘される自由の制限を防ぐ意識を反映し、教団の現代化を促す。
毎日新聞の信憑性と中国との関係
毎日新聞は、2016年から中国の英字紙「チャイナデイリー」が発行する「チャイナ・ウォッチ」を日本で唯一掲載(Wedge ONLINE、2019年4月23日)。これは中国が日米離反を狙うプロパガンダ戦略の一環とされ、ウイグル自治区を観光地として宣伝するなど、中国の人権問題を隠蔽する内容が含まれる。2016年8月25日の毎日新聞記事では、「チャイナ・ウォッチ」日本語版の配布開始を報じ、中国青年報社との五輪報道協力(2008年~)や日中企業家フォーラム創設(2009年)など、中国との提携強化を強調。日本僑報社のプレスリリース(2021年7月15日)では、毎日新聞に中国関連書籍の広告を掲載し、中国の貧困対策や日中交流を積極的に紹介している。
しかし、毎日新聞は中国の人権問題にも鋭く切り込む。元日中青年交流協会理事長・鈴木英司氏の著書『中国拘束2279日』(2023年4月、毎日新聞出版)は、中国の不当なスパイ罪による6年間の拘束を告発。鈴木氏は公安調査庁内に中国のスパイが存在する可能性を指摘し、毎日新聞は講演や出版でその声を後押しする。この姿勢は、同紙が中国の人権侵害に危機感を抱き、日本の「中国化」を警戒している可能性を示す。家庭連合の2世信者インタビューも、中国の宗教抑圧と重ね、信教の自由の重要性を訴える文脈で読める。中国を熟知する同紙だからこそ、教団の問題を報じつつ、2世信者の自浄作用や信教の自由を強調する報道に力が入るのかもしれない。
信教の自由と問題解決のバランス
家庭連合の高額献金や霊感商法による被害は深刻で、全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、1980年代以降の賠償額は150億円超、最近の集団交渉では39億円の請求が提起されている。被害者救済は急務だが、解散命令は真哉のような信者の信仰の場を奪い、信教の自由を制限する。中山氏は、宗教法人法の古い枠組み(1951年制定)や政治的動機による解散推進が問題だと警告。会社法(2005年)が解散に厳格な手続きを求めるのに対し、宗教法人法の曖昧な「法令違反」基準は、信教の自由を過度に制約する恐れがあると指摘する。
解決策として以下を提案:
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問題行為の規制:教団全体の解散でなく個別問題ごとに対処。
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2世信者の支援:教育やカウンセリングで、2世による教団内からの自浄作用を強化。
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対話の場:監禁棄教元信者と反対者だけでなく、現役信者、現役2世による対話で、問題解決と信教の自由を両立。
結論

