自民党「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)戦略本部」設立と台湾をめぐる政治動向:安倍路線継承、トランプ政権へのシグナル、台湾に学ぶ5つの侵略対抗策

自民党は2025年5月14日、FOIP戦略本部を設置し、安倍晋三元首相の構想を継承し、台湾海峡の安定を重視する親台湾派が結集。麻生太郎本部長や高市早苗氏らがトランプ政権との連携を強化するが、党役員の訪台禁止は親中派体質を露呈。台湾の頼清徳総統の対中政策や国際勝共連合の警鐘を参考に、対中強硬派への悲劇(安倍暗殺、岸失脚、トランプ選挙干渉)を防ぐ対策が急務。
FOIP戦略本部の設立と安倍路線の復活
FOIP戦略本部は、安倍元首相が2016年に提唱した「自由で開かれたインド太平洋」構想を基盤とする。この構想は、日本、米国、インド、オーストラリアによる「クワッド」を軸に、自由主義と民主主義を共有する国々が中国の海洋進出に対抗し、台湾海峡を含む地域の安定を確保する外交ドクトリンだ。麻生氏を本部長に据えた新組織は、安倍外交の継承を明確に打ち出し、初会合では元国家安全保障局長の秋葉剛男氏を講師に招き、トランプ政権への対応や日本外交の展望を議論する。
このタイミングは、2022年7月の安倍元首相暗殺、旧安倍派の弱体化(いわゆる「安倍派潰し」)、さらには親台湾派の象徴だった岸信夫元防衛相の退任など、保守派にとって逆風が続く中で行われた。FOIP戦略本部の設立は、こうした状況下で安倍路線を復活させ、台湾を重視する外交姿勢を再強化する試みと解釈できる。特に、麻生氏や高市氏、小林氏といった親台湾・反中派の議員が中心となり、党内での保守勢力の再結集を図っている。
台湾をめぐる日本の立場とトランプ政権との連携
台湾は、日本にとって地政学的に極めて重要な「生命線」だ。沖縄県与那国島から約110キロに位置し、エネルギーや食料の輸入に不可欠なシーレーン台湾海峡バシー海峡)の安全は日本の経済と国民生活に直結する。2021年6月、岸信夫元防衛相がASEAN拡大国防相会議(ADMMプラス)で「台湾海峡の平和と安定」の重要性を強調した際、台湾外交部はこれを歓迎し、日台の「全方位的なパートナーシップ」強化を表明した。岸氏の息子である岸信千世衆院議員も、2024年5月の寄稿で「台湾有事は日本有事」と訴え、安倍・岸家三代にわたる台湾との深い縁を強調している。
トランプ米政権は、中国共産党への対抗を最優先課題とし、台湾への軍事支援や経済的連携を強化する方針を明確にしている。2020年のヒューストン中国総領事館閉鎖や中国共産党員の入国禁止検討など、トランプ政権は中国のスパイ活動や影響力工作に対抗する強硬策を展開した。FOIP戦略本部のメンバーには、トランプ政権の対中包囲網に呼応する「台湾派」が多く含まれる。例えば、西村康稔氏は安倍外交の継承を強く主張し、小林鷹之氏は総裁選での保守層の支持を集めた若手有望株だ。彼らの動きは、トランプ政権が求める「同盟国としての日本の積極的関与」に応える姿勢を示すものだ。
自民党内の親中派と訪台禁止の問題
自民党内には、親中派や対中関係を重視する慎重派が根強く存在し、台湾問題をめぐる対立が顕在化している。特に、自民党役員になると訪台の許可が下りず、事実上禁止されている現状は、党の親中派体質を象徴する重大な問題だ。この禁止は、中国への配慮や外交的摩擦の回避を理由に正当化されることが多いが、トランプ政権の対中強硬姿勢や台湾海峡の安定を求める国際社会の潮流と明確に逆行する。現石破茂政権や森山裕幹事長を中心とする主流派は、財政健全化や消費税減税反対を掲げ、外交でも中国との経済関係を優先する傾向がある。これに対し、FOIP戦略本部は「安倍路線=積極財政・親台湾・対中強硬」を掲げ、党内での明確なアンチテーゼを形成している。
訪台禁止の方針は、党役員が台湾との直接的な交流を制限されることで、日台関係の深化を阻害し、党の親中イメージを強化している。尖閣諸島での中国の領海侵犯(2020年は100日連続、2024年も数十件)、産業スパイ活動(日立やパナソニックなど日本企業への共産党員潜入)、反スパイ法による日本人拘束(2023年以降複数件)、反日教育に起因する日本人児童刺殺事件(2024年深圳市)など、日中関係の緊張が高まる中、親中派の影響力は党内や世論で批判の対象となっている。自民党が同盟国としての信頼を維持し、トランプ政権の対中包囲網に積極的に参画するには、訪台禁止の方針を撤廃し、党役員による訪台を奨励する改革が急務だ。具体的には、党規約や外交方針に親台湾派の声を反映させる仕組みの構築、訪台を積極的に推進するリーダーシップの確立が必要である。
対中強硬派に降りかかった悲劇
対中強硬姿勢を貫く人物や団体には、数々の悲劇が降りかかっている。これらの事例は、中国共産党の影響力工作やスパイ活動の脅威を浮き彫りにし、台湾の対抗策を学ぶ必要性を強調する。
  1. 安倍晋三元首相の暗殺(2022年7月)安倍氏は「台湾有事は日本有事」と明言し、FOIP構想を推進した親台湾派の象徴だった。訪台を計画していた矢先の暗殺は、保守派にとって大きな打撃となり、親中派の台頭を許す一因となった。中国共産党の影響力工作との関連は不明だが、国際勝共連合は「安倍暗殺を最も喜んだのは中国共産党」と指摘し、警鐘を鳴らす。
  2. 岸信夫元防衛相の失脚(2022年):岸氏は台湾海峡の安定を重視し、日米台の連携強化を推進。健康問題を理由に退任したが、親中派による「安倍派潰し」の一環と見る向きもある。岸氏の退任は、親台湾派の影響力低下を象徴する出来事だった。
  3. 高市早苗氏と麻生太郎氏の総裁選敗北と復活(2024年)高市氏は2024年の自民党総裁選で最多票を獲得しながら、親中派や主流派の抵抗により敗北。麻生氏ら保守派も一時後退したが、FOIP戦略本部の設立で復活を果たした。この攻防は、党内での親中・親台派の対立を浮き彫りにする。
  4. トランプ大統領の2020年選挙敗北:現職大統領としてヒューストン中国総領事館閉鎖や中国共産党員の入国禁止を検討するなど、対中強硬策を展開したトランプ氏は、2020年の大統領選で敗北。ヒューストン総領事館TikTokを活用してBLMやANTIFAの暴動を扇動した疑惑(2020年報道)や、中国のサイバー攻撃(2024年10月のトランプ氏携帯へのハッキング未遂)など、中国共産党の選挙干渉が疑われる。しかし、2024年に再選を果たし、対中経済包囲網(145%関税引き上げ)を強化。
これらの悲劇は、中国共産党のスパイ活動(ヒューストン総領事館の技術窃盗や駐日中国大使館の影響力工作)、サイバー攻撃(2024年10月のハッキング未遂)、プロパガンダ(BLM支援や反日教育)といった脅威が、対中強硬派を標的にしていることを示す。台湾の頼清徳総統の対抗策は、こうした悲劇を防ぐための具体的なモデルを提供する。台湾は「反浸透法」でスパイ活動を封じ、国民教育で中国の脅威を周知し、経済依存を減らす戦略を推進。日本も同様の枠組みを構築し、対中強硬派への攻撃を未然に防ぐ必要がある。
台湾に学べ:侵略に対抗する政策
台湾の頼清徳総統は、2025年3月13日の「国安高層会議」後の記者会見で、中国を「境外敵対勢力」と明確に定義し、5つの脅威(国家主権への脅威、軍への浸透・スパイ活動、国民の国家アイデンティティの混乱、統一工作の浸透、経済的取り込み)と17項目の対抗策を発表した。これらの政策は、中国の侵略的行動に対抗する包括的かつ現実的なアプローチを示しており、日本にとって重要な教訓となる。国際勝共連合の街頭演説でも、中国共産党のスパイ活動(国防動員法、国家情報法)、ウイグルチベットでの人権侵害、台湾侵攻の脅威が強調されており、台湾の政策と共通する危機感が補強される。
  1. 軍事面の強化:頼総統は軍事裁判制度の復活を表明し、軍へのスパイ浸透を徹底排除。台湾は機動性と即応性を重視した防衛戦略を強化している。国際勝共連合は、中国の「全国民スパイ化」政策を指摘し、スパイ防止法の必要性を訴える。
  2. 国家アイデンティティの保護:台湾は軍人や公務員の中国身分証取得を調査し、国民の忠誠心を確保。国家への帰属意識を高める教育も推進。国際勝共連合は、共産主義が宗教や家族制度を破壊し、国家アイデンティティを侵食すると警告。
  3. 統一工作の阻止:統一工作に関与する中国人の入国制限や、台湾人芸能人の中国活動の管理を強化。公職者の中国交流の透明性も義務化。国際勝共連合は、中国の文化共産主義が日本の家庭や愛国心を破壊すると訴え、類似の影響力工作への警戒を促す。
  4. 経済的依存の脱却:台湾経済の中国依存を減らす構造調整を進め、半導体産業のグローバルサプライチェーンでの地位を強化。国際勝共連合は、中国による日本の技術盗用(例:蓄電池技術の流出)を問題視し、経済安全保障の強化を求める。
  5. 国民教育の強化:若者向けに中国の脅威を理解する教育を推進し、メディアリテラシー歴史認識の向上を図る。国際勝共連合は、共産主義の思想的浸透(例:批判的ジェンダー論や夫婦別姓)が日本の伝統や秩序を崩壊させると警告し、国民の意識改革を訴える。
台湾の政策は、限られた資源で侵略に対抗する戦略的思考を示す。国際勝共連合の演説は、チベット侵略(1950年、1万人の虐殺)、ウイグルでの核実験(1964年以降46回、広島原爆の1000倍規模)、尖閣諸島への侵入(2020年100日連続)を例に、中国共産党の侵略的本質を強調し、台湾の危機感を補強。2020年のヒューストン総領事館閉鎖や駐日中国大使館の活動(鳩山元首相や読売新聞との会見)も、中国のスパイ網の危険性を裏付ける。日本は、台湾の「反浸透法」や情報公開の仕組みを参考に、親中派の影響を排除し、国民の安全と国家の独立を守る枠組みを構築する必要がある。訪台禁止の方針は、台湾の積極的姿勢と対照的であり、党改革の遅れを露呈している。
日本でできる5つの強化策
台湾の対中政策と国際勝共連合の訴え、さらに対中強硬派の悲劇を教訓に、日本が直ちに取り組むべき具体的な対策を以下に示す。これらは、日本の実情に合わせた現実的かつ実行可能な施策として設計されている。
  1. 1. 軍事面の強化自衛隊の情報保全体制を強化し、サイバー攻撃やスパイ活動への対応能力を向上。2023年に発足した「防衛省サイバー防衛司令部」の人員と予算を増強し、台湾海峡尖閣諸島での中国の動向をリアルタイムで監視する衛星・ドローンシステムを拡充。米軍や台湾軍との共同訓練を定例化し、有事対応の即応性を高める。国際勝共連合が指摘する中国の「全国民スパイ化」(国防動員法)や2024年10月のトランプ氏携帯ハッキング未遂に対抗し、軍事機密の漏洩防止策を徹底。
  2. 2. 国家アイデンティティの保護:重要インフラ(電力、通信、半導体)や公的機関に従事する者の外国籍身分保有を厳格に調査・管理する法案を制定。2024年に成立した「経済安全保障推進法」を拡張し、機密情報へのアクセス権を持つ公務員や民間企業社員に定期的なセキュリティチェックを義務化。国民教育では、学校カリキュラムに安全保障の基礎知識を導入し、国家意識を涵養。国際勝共連合の訴える「共産主義による宗教・家族の破壊」や安倍氏暗殺の衝撃を教訓に、伝統文化や愛国心を重視した教育を強化。
  3. 3. 統一工作の阻止:「反スパイ法」の制定を急ぎ、ヒューストン総領事館のようなスパイ拠点(駐日中国大使館の活動を含む)を封じる。現行の「外為法」や「特定秘密保護法」を補完し、文化・教育交流を通じた統一工作(孔子学院や中国主催の交流イベント)を監視・規制。公職者(国会議員、地方議員)の中国訪問を事前申告制とし、交流内容を公開する制度を導入。2020年の駐日中国大使館の鳩山氏や読売新聞との会見、2024年の日本人児童刺殺事件を契機に、反日教育の影響を監視する専門部署を外務省に設置。国際勝共連合が強調する「文化共産主義」の浸透防止策として、メディアやSNSでの中国発プロパガンダを監視する体制を構築。
  4. 4. 経済的依存の脱却:中国依存のサプライチェーンレアアース、医薬品、半導体部品)を多角化し、台湾やASEAN諸国との経済連携を強化。2022年に開始された「経済安全保障サプライチェーン強化基金」を拡充し、国内生産や友好国との共同開発を支援。台湾のTSMCが熊本に工場を設立したモデルを参考に、半導体やAI関連技術の国内基盤を強化。国際勝共連合が指摘する中国による技術盗用(日立やパナソニックへの共産党員潜入、蓄電池技術の流出)や2020年の中国共産党員名簿流出に対抗し、特許管理や企業秘密保護の法制度を強化。
  5. 5. 国民教育の強化:中国のプロパガンダ反日教育に対抗し、国民向けの安全保障教育を拡充。NHKや民間メディアと連携し、尖閣諸島台湾海峡の重要性、2020年のヒューストン総領事館閉鎖の背景を解説する番組を制作。学校教育では、2024年度から導入された「公共」科目を活用し、領土問題やスパイ活動の実例(ウイグルチベット、安倍暗殺の衝撃)を教える。市民向けには、総務省の「情報リテラシー向上キャンペーン」を拡大し、SNS上の中国発フェイクニュースの見分け方を普及。国際勝共連合の訴える「共産主義思想の浸透」に対抗し、ウイグルチベットの歴史的弾圧を題材にした教育コンテンツを開発。
これらの対策は、台湾の限られた資源を最大限活用する戦略に倣い、日本の法制度や社会構造に適合させたものだ。国際勝共連合の演説は、チベット侵略(1950年、1万人の虐殺)、ウイグルでの核実験(1964年以降46回)、尖閣への侵入(2020年100日連続)を例に、共産主義の破壊的実態を強調し、台湾の危機感を補強。2020年のヒューストン総領事館閉鎖や駐日中国大使館の活動(鳩山氏との会見など)は、中国のスパイ網の危険性を裏付ける。安倍氏暗殺やトランプ氏の選挙干渉被害を防ぐためにも、迅速な法制化と予算措置が求められる。
日台交流の深化と課題
自民党は政府間外交が制約される中、党青年局や日華議員懇談会を通じて台湾との交流を強化してきた。2022年4月、青年局長の小倉將信氏らが訪台前に安倍元首相や古屋圭司氏から激励を受け、蔡英文総統への親書を届けた。2025年も、台湾の三三青年会や台北市政府青年局長の来日など、若手を中心とした交流が活発化している。地方レベルでは、山口県台南市が観光・商業分野で友好覚書を締結するなど、地域間の連携も進む。
一方、台湾は中国の圧力により国交国が12カ国に減少し、軍事的脅威も増大している。2025年4月の台湾周辺軍事演習は、台湾海峡の封鎖能力を誇示するものだった。日本は防衛省職員の台湾常駐や米軍との連携強化を進めているが、親中派の影響や財政政策の対立が、台湾へのコミットメントを鈍らせるリスクも指摘されている。党役員の訪台禁止は、こうした日台連携の足かせとなり、党内の親中イメージを強化する要因となっている。
結論:保守結集、党改革、そして台湾に学ぶ
FOIP戦略本部の設立は、安倍外交の継承、台湾海峡の安定、トランプ政権との連携を軸に、保守派が自民党内の主導権奪還を目指す動きだ。尖閣問題、産業スパイ、反スパイ法による日本人拘束、反日教育による事件など、対中関係の悪化は日本に「親中か親台湾か」の戦略的選択を迫っている。台湾を「日本の生命線」と位置づけ、トランプ政権の対中包囲網に積極的に参画する姿勢は、FOIP戦略本部のメンバー、特に麻生氏、高市氏、小林氏らの共通認識だ。
しかし、自民党役員に対する訪台禁止の方針は、党の親中派体質を象徴し、トランプ政権や国際社会からの信頼を損なうリスクを孕む。この問題を克服するには、訪台禁止の撤廃、親台湾派の登用、訪台を奨励する方針の明確化など、党内の意思決定プロセスを抜本的に改革する必要がある。さらに、台湾の頼清徳総統が示す侵略対抗策と、国際勝共連合が訴える共産主義の脅威、対中強硬派の悲劇(安倍暗殺、岸失脚、高市・麻生の敗北、トランプの選挙干渉被害)に学び、上記の5つの強化策を通じて、軍事・経済・国民教育の各分野で中国の影響力を排除する政策を構築すべきだ。FOIP戦略本部がSNSなどを活用し、強い発信力で国民的支持を集め、トランプ政権との具体的な協力を進めることが、日本の外交と安全保障の方向性を左右する。台湾との絆を深め、中国の脅威に対抗する日本の決意が、今、試されている。