小学生新聞: 『地政学でみる初代キリスト教会の発展理由 - ペンテコステと「おもいやり」』

小学生新聞: 『地政学でみる初代キリスト教会の発展理由 - ペンテコステと「おもいやり」』
キリスト教は、約2000年前のローマ帝国で、たくさんの人に愛された宗教だよ。ロドニー・スターク(Rodney Stark)さんの本『キリスト教ローマ帝国』(The Rise of Christianity)によると、キリスト教が広まったのは、キリスト教徒たちが「おもいやり」(compassion)を大切にしたからなんだ! おもいやりは、友達や知らない人を助けたり、優しくしたりすることだよね。さらに、「ペンテコステ」(Pentecost)という特別な出来事が、いろんな国の人たちにキリスト教を広めるきっかけになったよ。今回は、地政学(ちせいがく:国や地域の関係から歴史を考える方法)を使って、ペンテコステと「おもいやり」がどうやってキリスト教を大きくしたかを説明するよ。4世紀までにキリスト教にとって大事だった都市トップ5と、その都市で活躍した人たち、聖書の翻訳に使われた言語も紹介するよ。日本のおもいやりとのつながりや、2000年前のローマと今の社会の違いも見てみよう!

ペンテコステ(Pentecost)ってなに?
ペンテコステは、キリスト教が始まったばかりの1世紀に起こったすごい出来事だよ。聖書(使徒言行録2章、Acts 2)に書いてあるけど、イエス・キリスト(Jesus Christ)が天に昇った後、弟子たちがエルサレム(Jerusalem)に集まっていたとき、突然、強い風のような音がして、聖霊(Holy Spirit)がみんなに降りてきたんだ! 弟子たちは、いろんな国の言葉でキリスト教のことを話し始めたよ。これで、ユダヤ人や外国人が「イエスの教え、すごい!」と感動して、キリスト教を信じる人が一気に増えたんだ。地政学的に見ると、エルサレムはいろんな国から人が集まる「世界の交差点」だったから、ペンテコステキリスト教を遠くまで広めるスタートになったんだよ!
キリスト教の「おもいやり」(Compassion)とはどういうもの?
キリスト教の「おもいやり」は、イエスが教えた「みんなを愛しよう」(Love your neighbor, マタイ22:39、Matthew 22:39)という考えからきているよ。スタークさんは、これを「美徳」(virtue)と呼んで、キリスト教が広まった大きな理由だと言っているんだ。ペンテコステ聖霊を受けた人たちが、この「おもいやり」をいろんな町で実践したから、キリスト教がどんどん大きくなったんだ。地政学的に、どんな地域や都市でどうやって広まったか、時代ごとに見てみよう!
1世紀:ペンテコステキリスト教がスタート!(エルサレム小アジア
2世紀:つらいときも助け合った(都市部への広がり)
  • どんなおもいやり?
    ローマ帝国キリスト教徒が迫害(persecution)されたとき、みんなで「自分を犠牲(self-sacrifice)にしてでも仲間を守ろう」とがんばったよ。病気(アントニヌス疫病、165-180年頃)が流行ったとき、病人を看病したり、亡った人をきちんと埋葬したりしたんだ。ローマの人たちは病人を放っておくことが多かったから、これはすごい「慈悲」(mercy)だったよ。
  • 地政学的にすごい理由
    ローマ帝国の大きな都市は、人がたくさん住むけど、病気や貧困が問題だった。キリスト教徒の「おもいやり」は、都市の貧しい人や女の人に大人気だったよ。ペンテコステ聖霊の力が、みんなを勇気づけて、都市から都市へとキリスト教が広がったんだ。
  • キーパーソン
    • ユスティノス(Justin Martyr):ローマでキリスト教の良さを説明。迫害されても「おもいやり」を示したよ。
    • ポリュカルポス(Polycarp):スミルナで、迫害されてもキリスト教を守ったよ。
  • 重要な都市ローマ(Rome)
    ローマはローマ帝国の首都で、政治や文化の中心。キリスト教徒が迫害されたけど、「おもいやり」で信者が増えたよ。ユスティノスがここで活躍したんだ。
  • 聖書の翻訳語:この時期も、ギリシア語(Koine Greek)が主に使われたよ。ユスティノスやポリュカルポスの書いたものも、ギリシア語で広まったんだ。
3世紀:大きなグループに(アンティオキアやアレクサンドリア
  • どんなおもいやり?
    キリスト教はアンティオキアやアレクサンドリアのような大きな町に広がって、助け合うグループが強くなったよ。迫害(デキウス帝、249-251年)があっても、食べ物やお金を分け合ったり、励まし合ったりしたんだ。特に、女の人や貧しい人に優しくしたよ。これが「相互扶助」(mutual aid)だよ。
  • 地政学的にすごい理由
    アンティオキアやアレクサンドリアは、商売や文化の中心地で、いろんな国の人が集まった。キリスト教は、ペンテコステの「いろんな言葉で話す力」を活かして、いろんな人に伝わったよ。ローマでは貧しい人や女の人が軽く扱われたけど、キリスト教は「みんな大切だよ」(egalitarianism)と言ったから、たくさんの人が仲間になったんだ。スタークさんは、信者が600万人まで増えたって言ってるよ!
  • キーパーソン
  • 重要な都市
    • アンティオキア(Antioch):シリアにある商売と文化の中心地。「クリスチャン」(Christian)と初めて呼ばれた場所だよ(使徒11:26、Acts 11:26)。いろんな人にキリスト教が伝わったんだ。
    • アレクサンドリア(Alexandria):エジプトの港町で、学問の中心。オリゲネスがここでキリスト教を頭のいい人にも広めたよ。
  • 聖書の翻訳語ギリシア語(Koine Greek)に加えて、ラテン語(Latin)やコプト語(Coptic)が使われ始めたよ。アレクサンドリアでは、コプト語の聖書がエジプトの人に広まったんだ。
4世紀:キリスト教が認められた!(ローマ帝国全体)
4世紀までの重要な都市トップ5
  1. エルサレム(Jerusalem)キリスト教のスタート地点。ペンテコステが起こり、ペトロやパウロが活躍。いろんな国から人が集まる「世界の交差点」だったよ。
  2. ローマ(Rome)ローマ帝国の首都。迫害があったけど、ユスティノスやコンスタンティヌス帝がキリスト教を大きくしたんだ。
  3. アンティオキア(Antioch):シリアの商売と文化の中心。「クリスチャン」の名前が生まれた場所で、いろんな人にキリスト教が伝わったよ。
  4. アレクサンドリア(Alexandria):エジプトの学問の中心。オリゲネスがキリスト教を頭のいい人にも広めたよ。いろんな文化が混ざる港町だったんだ。
  5. コンスタンティノープル(Constantinople):4世紀にできた新しい首都。コンスタンティヌス帝がキリスト教を応援して、帝国の東部で中心になったよ。
ペンテコステと「おもいやり」がすごかった理由
スタークさんは、ペンテコステと「おもいやり」がキリスト教を大きくした理由をこう説明するよ:
  • ペンテコステの力聖霊(Holy Spirit)が弟子たちにいろんな言葉を話す力をくれたから、エルサレムやアンティオキアみたいな「世界の交差点」で、いろんな国の人にキリスト教が伝わったよ。
  • 特別な優しさ:ローマでは「自分だけよければいい」という人が多かったけど、キリスト教は「みんなを助けよう」(compassion)と言ったから、びっくりするくらい魅力的(social appeal)だったんだ。
  • 病気のときの助け:病人を助けたから、キリスト教徒は生き残る人が多くて、グループが強くなったよ(survival rate)。特に、アレクサンドリアやアンティオキアで目立ったんだ。
  • 女の人の力:女の人を大切にしたから(egalitarianism)、女の人たちが家族や友達をキリスト教に誘ったよ。都市で人々が集まる場所で、どんどん広まったんだ。
  • 友達の輪:優しい行動が友達や家族に伝わって(social networks)、どんどん信者が増えたよ。商売の道や港町で、キリスト教が広がったんだ。
日本の「おもいやり」とキリスト教の「おもいやり」(Compassion)
日本にも「おもいやり」があるよね! たとえば、友達が転んだら助けたり、電車でおじいちゃんに席をゆずったりするよね。日本の「おもいやり」は、儒教や仏教、神道からきていて、キリスト教の「おもいやり」と似ているところがあるよ。比べてみよう!
似ているところ
  • 人を助けるキリスト教は病人や貧しい人を助けたよ(mercy)。日本でも、2011年の東日本大震災で、たくさんの人がボランティアで助け合ったよね。
  • 仲間を大切にキリスト教は仲間で助け合った(mutual aid)。日本でも、クラスや町内会で、みんなで協力するよね。
  • 自分をガマンキリスト教徒は自分のことを後回しにして人を助けた(self-sacrifice)。日本でも、家族や友達のために我慢すること、あるよね。
違うところ
  • なぜするの?キリスト教は「神様が喜ぶから」(divine love)優しくするけど、日本の「おもいやり」は「みんなが仲良く暮らすため」にすることが多いよ。
  • 誰にする?キリスト教は知らない人にも優しくしたけど(universal love)、日本は家族や友達にまず優しくするよね。最近は、知らない人にも優しくする人が増えてるよ!
  • どうやって?キリスト教は大きな病院を作ったりしたけど、日本の「おもいやり」は、静かに手助けしたり、「空気を読む」ことが多いよ。
日本ではキリスト教徒は少ないけど(100万人くらい、2020年)、キリスト教の学校やボランティアで「おもいやり」を実践しているよ。たとえば、海外で困っている人を助けるキリスト教のグループは、みんなに優しくする大切さを教えてくれるんだ。
2000年前のローマと今の社会の違い
2000年前のローマと今は全然違うよ! 地政学的に見て、ペンテコステと「おもいやり」が今にどう活かせるか考えてみよう。
1. 社会のしくみ(Social Structure)
  • ローマ:金持ちと貧しい人の差が大きく、助け合う仕組みがなかった。エルサレムやアンティオキアみたいな都市で、ペンテコステの「おもいやり」が助け合いを広めたよ。
  • :国やボランティア団体が病院や学校を作って、困っている人を助けるよ。「おもいやり」は、心のさみしさやいじめをなくすのに役立つんだ。
2. 宗教(Religion)
  • ローマ:たくさんの神様がいて、優しさの教えは少なかった。ペンテコステ聖霊(Holy Spirit)が「おもいやり」を都市から都市に広めたよ。
  • :いろんな宗教や、宗教を信じない人もいるよ。「おもいやり」は、みんなが共感できる「優しさ」(compassion)として活かせるよ。
3. 困っていること(Crises)
  • ローマ:病気や迫害がたくさんあって、「おもいやり」が命を救ったよ。アレクサンドリアやローマでキリスト教が広まったんだ。
  • :環境問題や心のストレスが問題。「おもいやり」は、ボランティアやSNSで人を励ますのに使えるよ。
4. 女の人の役割(Role of Women)
  • ローマ:女の人は軽く扱われたけど、キリスト教は女の人を大切にしたよ(egalitarianism)。都市で活躍した女の人たちがキリスト教を広めたんだ。
  • :女の人は活躍してるけど、まだ差があることも。「おもいやり」は、みんなを平等に扱うアイデアをくれるよ。
キリスト教の十字架(Cross)の秘密
キリスト教のシンボルは「十字架」(cross)だよね。ある話によると、十字架は仏教の「卍(まんじ)」(swastika)とつながっているかもしれないんだ。卍は、2000年以上前からある「幸せのマーク」で、夜空の星(小熊座、Ursa Minor)の動きを表しているよ。日本のお寺でも卍を見かけるよね。地政学的に見ると、ペンテコステでいろんな国の人に伝わったキリスト教は、アレクサンドリアやアンティオキアでいろんな文化のいいところを取り入れて、「おもいやり」をもっと広めたんだ!
まとめ
キリスト教は、ペンテコステ(Pentecost)で聖霊(Holy Spirit)がみんなを一つにして、イエス(Jesus)、ペトロ(Peter)、パウロ(Paul)たちがエルサレム(Jerusalem)、ローマ(Rome)、アンティオキア(Antioch)、アレクサンドリア(Alexandria)、コンスタンティノープル(Constantinople)で「おもいやり」(compassion)を広めたから、2000年前のローマで大人気になったんだ。地政学的に、都市や商売の道を通じて、いろんな国に伝わったよ。聖書はヘブライ語(Hebrew)、ギリシア語(Koine Greek)、ラテン語(Latin)、コプト語(Coptic)、シリア語(Syriac)で訳されて、たくさんの人に読まれたんだ。日本の「おもいやり」と似ているけど、ちょっと違うところもあるよね。今は、ネットやボランティアで「おもいやり」を活かせるんだ。小学生のキミも、友達に優しくしたり、困っている人を助けたりして、ペンテコステの「おもいやり」を実践できるよ! スタークさんの本は、昔の優しさが今も大事なことを教えてくれるんだ。
参考文献
  • Stark, Rodney. The Rise of Christianity. HarperOne, 1997.

The Rise of Christianity: How the Obscure, Marginal Jesus Movement Became the Dominant Religious Force in the Western World in a Few Centuries