「鈴木エイト氏、名誉毀損で前代未聞の敗訴 『表現の自由』を語らず、『ミヤネ屋』も責任問われるか」

「鈴木エイト氏、名誉毀損で前代未聞の敗訴 『表現の自由』を語らず、『ミヤネ屋』も責任問われるか」
ジャーナリスト・鈴木エイト氏(56)が、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の信者・後藤徹氏(61)から提訴された名誉毀損訴訟で、2025年1月31日、東京地裁で一部敗訴の判決を受けた。後藤氏が12年半にわたり親族らに拉致監禁された被害を「引きこもり」と侮辱した発言が「社会的評価を低下させる」として、11万円の賠償命令が下された。この裁判の控訴審が6月24日に結審し、判決は8月26日に予定されているが、鈴木氏は法廷で「表現の自由」をほぼ主張せず、その姿勢が厳しい批判を浴びている。テレビ出演者として前例のない名誉毀損敗訴を喫した鈴木氏と、問題発言を放送した日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」を運営する読売テレビの責任が、今、鋭く問われている。なぜ鈴木氏は「表現の自由」を語らず、放送局は放送法を軽視したのか? その背景に迫る。
12年半の拉致監禁を「引きこもり」と侮辱
後藤氏は1995年から2008年まで、家族らによる拉致監禁を受け、信仰を捨てるよう強要されたと主張。2015年、最高裁でこの監禁が「違法」と認定され、親族らに2200万円の賠償を命じる判決が確定した。こうした事実が司法で認められたにもかかわらず、鈴木氏は自身のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」や「情報ライブ ミヤネ屋」で、後藤氏について「12年間に及ぶ引きこもり生活の末、裁判で2000万円をGETした」「ほぼ引きこもり状態」などと発言。これが名誉毀損と認定された。
後藤氏側は、鈴木氏の発言が「監禁被害者を侮辱し、社会的評価を下げるもの」と主張。鈴木氏は「ほぼ勝訴」と強弁し控訴したが、裁判で「表現の自由」を正面から主張することはほぼ皆無だった。ブログ「川塵録」によると、鈴木氏は地裁・高裁の書面で「表現の自由」という言葉をわずか3回使用したが、いずれも「裁判で認定された事実と異なる事実を表現することは表現の自由」との文脈で、論点がズレていると批判されている。さらに、控訴審で鈴木氏が提出した唯一の証拠――山田健太教授の意見書――は、「ネット上の情報は玉石混交」「虚偽情報に社会が寛容になるべき」との主張だが、ブログでは「ラディカルな暴論」と一蹴され、鈴木氏の弁護姿勢は迷走している。
拉致監禁カルテット」と罪悪感の影
鈴木氏の「表現の自由」を語らない姿勢の背景には、「拉致監禁カルテット」としての過去の関与が影響している可能性がある。「川塵録」では、紀藤正樹弁護士、鈴木エイト氏、有田芳生元議員、櫻井義秀氏の4人が、旧統一教会信者への拉致監禁事件に関与し、罪悪感から旧統一教会を攻撃し続けると指摘。鈴木氏は2011年、統一教会員の実家に渡辺博弁護士の手紙を届け、拉致監禁の準備行為に関与したとされ、ブログ「あと10年をポジティブに生きる記録」で「監禁派のパシリ」と批判されている。この行為は監禁罪の幇助に該当する可能性があり、鈴木氏の「引きこもり」発言は、自身の罪悪感を軽減するための「被害者の加害者化」と分析されている。この過去が法廷で追及されるリスクを避けるため、鈴木氏は「表現の自由」を積極的に主張できなかった可能性がある。
テレビ出演者として前例のない名誉毀損敗訴
鈴木氏の敗訴は、テレビ出演者としてのジャーナリストが名誉毀損で敗訴した前例のない事態として、ジャーナリズム界に衝撃を与えている。過去の名誉毀損訴訟では、ジャーナリストの江川紹子氏が1996年にオウム真理教関連報道で東京地裁で一部敗訴(賠償金50万円)したが、控訴審で逆転勝訴し、表現の自由が保護された。また、2000年代に週刊誌記者が企業批判記事で敗訴(賠償金約100万円)したケースもあったが、テレビの情報番組でレギュラー出演するジャーナリストが名誉毀損で敗訴した例は皆無だ。鈴木氏の場合、最高裁で「違法な監禁」と認定された事実を無視し、後藤氏を「引きこもり」と侮辱した発言が、事実誤認に基づく悪質なものと裁判所に判断された。
この敗訴は、鈴木氏のジャーナリストとしての資質に深刻な疑問を投げかける。鈴木氏は旧統一教会の「偽装勧誘」や政治との関係を追及し、『自民党統一教会汚染 追跡3000日』で知られるが、事実を歪曲した発言はジャーナリズムの倫理に反する。2023年7月30日の二世シンポジウムで、福田ますみ氏から「後藤さんを『引きこもり』と呼ぶのはなぜ」と問われた鈴木氏は「どうでもいい」と回答し、炎上。Xでの釈明でも「統一教会拉致監禁を『被害者面』でアピールしているだけ」と述べ、後藤氏個人への侮辱と受け取られた。この無責任な姿勢は、「ジャーナリスト失格」との批判を浴び、鈴木氏の信頼性を大きく損なった。
「ミヤネ屋」と読売テレビの責任
鈴木氏の発言を放送した「情報ライブ ミヤネ屋」と読売テレビも、厳しい批判に晒されている。放送法第4条は、放送局に対し「事実をまげない」「意見が対立している問題は多角的に論ずる」と規定するが、鈴木氏の「引きこもり」発言は、最高裁で認定された事実を歪曲し、後藤氏の名誉を毀損するものだった。読売テレビは、鈴木氏の発言を検証せずに放送し、視聴者に誤った情報を伝えた責任を免れない。後藤氏側は、放送局が名誉毴損訴訟の対象になる可能性を指摘しており、実際に放送内容が名誉毀損と認定された場合、読売テレビは法的・社会的責任を問われることになる。
放送法を軽視した番組制作は、視聴者への背信行為 Cé39;行為だ。ある放送関係者は「テレビ局は視聴率を追うあまり、センセーショナルな発言を安易に放送する傾向がある。鈴木氏の発言を事前検証せず放送した読売テレビの姿勢は、放送法の精神に反する」と批判する。別の名誉毀損訴訟では、放送局が問題発言を放送した責任を問われ、賠償命令を受けた前例もあり(例:2005年のテレビ東京訴訟、賠償金約200万円)、「ミヤネ屋」も同様のリスクに直面している。
表現の自由」を語らない理由
鈴木氏が「表現の自由」を積極的に主張しない背景には、複数の要因が考えられる。まず、鈴木氏の弁護団は、問題発言が「価値中立的」と主張したが、裁判所は「侮辱的」と判断し退けた。控訴審での山田健太教授の意見書も、「ネット上の虚偽情報に社会が寛容になるべき」との主張が「社会に好ましくない」と自認する内容で、説得力を欠いた。法曹関係者は「鈴木氏の発言は、司法が認定した事実を否定するもので、表現の自由の保護範囲を超える。主張しても勝ち目が薄いと判断したのだろう」と分析する。さらに、「拉致監禁カルテット」としての過去の関与が法廷で追及されるリスクも、鈴木氏の沈黙の一因と考えられる。
控訴審の行方と放送メディアの責任
6月24日に結審した控訴審の判決は8月26日に予定されているが、鈴木氏の主張が認められる可能性は低いとみられる。憲法学者は「表現の自由は他者の名誉を不当に傷つける発言を保護しない。鈴木氏の事実誤認に基づく発言は、ジャーナリズムの責任を果たしていない」と指摘。読売テレビも、放送法を遵守せず、誤った情報を拡散した責任を問われるべきだとの声が強い。
鈴木エイト氏の前例のない敗訴は、ジャーナリストとしての倫理観の欠如を露呈した。放送局の無責任な姿勢も、視聴者への裏切り行為に他ならない。8月26日の判決は、ジャーナリズムの信頼性と放送メディアの社会的責任を問う試金石となるだろう。鈴木氏が「表現の自由」を語らなかった理由、そして「ミヤネ屋」が放送法を軽視した背景は、判決後、さらなる議論を呼ぶに違いない。