「旧統一教会の信者4300人が拉致監禁された――」。衝撃的な告発が、参議院議員・浜田聡氏の口から飛び出した。10月某日、福岡市内で行われた勝共連合九州の講演会でのことだ。浜田氏は、壇上で熱弁を振るいながら、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の信者に対する拉致監禁事件の背景に、立憲民主党と“脱会屋”宮村峻氏の関与疑惑があるとぶちまけた。さらに、スパイ防止法や中国発のフェンタニル問題にも言及し、会場を震撼させた。本誌は、この講演の全貌を独自入手。日本の政治と宗教、さらには国際的な闇が交錯する、驚くべき実態を暴く。
「4300人拉致監禁」の衝撃事実
講演の冒頭、浜田氏はこう切り出した。「旧統一教会の信者さんが、4300人も拉致監禁されたという事実があります。私は国会議員になって初めて知りました。信じられない状態です」。会場に集まった勝共連合の支持者たちは、息をのんだ。
拉致監禁とは、旧統一教会の信者を家族や第三者が強制的に連れ出し、信仰をやめさせるために監禁する行為を指す。浜田氏によると、この背後には「脱会屋」と呼ばれる人物たちが暗躍しており、その代表格として宮村峻氏の名前を挙げた。「この方が、立憲民主党の勉強会に呼ばれて話をしていたんです。非常に重く受け止めています」と、浜田氏は声を強めた。
本誌がX上の情報を調査したところ、宮村氏は旧統一教会の信者を脱会させる活動で知られ、過去には成人男性に対する12年以上にわたる拉致監禁を指南したとして最高裁で敗訴した人物だ。 浜田氏は、宮村氏が立憲民主党の有田芳生氏の紹介で同党の国会ヒアリングに参加していたことを問題視。「国政政党として、多くの政党助成金を受け取り、野党第一党としての責任がある。なのに、この事実をほとんどの国民が知らない。投票の判断材料にすべきです」と、マスコミの取材を強く求めた。
浜田氏の講演は、拉致監禁問題にとどまらなかった。もう一つの大きなテーマは「スパイ防止法」と「勝共連合」だ。「スパイ防止法といえば勝共連合、勝共連合といえばスパイ防止法と言われるぐらい」と、浜田氏は力を込めた。
勝共連合(国際勝共連合)は、旧統一教会を母体とする反共主義の政治団体で、1968年に文鮮明氏により設立され、日本では岸信介元首相らが発起人となった。 スパイ防止法の制定を強く支持しており、浜田氏は「国民の皆様、特にスパイ防止法を望む方には、勝共連合という名前を知ってほしい。そして、納得した上で賛否を判断してほしい」と訴えた。
本誌が確認したところ、勝共連合は1980年代に「国家秘密法案(スパイ防止法)」の制定を推進し、自民党の改憲案と一致する緊急事態条項や家族条項の創設を主張している。 ただし、同団体は「反共の先兵」として共産党から批判され、霊感商法や選挙妨害ビラ配布などの反社会的行為も指摘されている。 浜田氏はこうした批判を承知の上で、「私は知らないことも多い。だが、国民に事実を知ってほしい」と繰り返した。
中国発フェンタニル問題、日本にも波及
さらに、浜田氏が言及したのが、最近の日経新聞のスクープ記事――中国からアメリカへ密輸される合成麻薬「フェンタニル」が、日本でも流通しているという衝撃の事実だ。「愛知県名古屋市西区で、その拠点が突き止められた。日経新聞がいい仕事をした」と、浜田氏は称賛した。
フェンタニルは、モルヒネの数倍の効果を持つ強力な麻薬で、適切に使用しなければ死に至る危険性がある。米国ではオピオイド危機の主要因として問題視されており、トランプ前大統領がカナダやメキシコに高関税を課す理由の一つともなった。日経新聞の報道によれば、アメリカでの裁判資料を基に、日本国内の企業名や社長が特定され、Facebookアカウントまで突き止められたという。X上では、この報道が100万~200万のインプレッションを記録するなど、大きな反響を呼んでいる。
「この問題は数年前からくすぶっていたが、ついに日本が拠点となっていたことが明らかになった。公安調査庁や警察にはしっかり対処してほしい」と、浜田氏は訴えた。スパイ防止法の必要性を強調する背景には、こうした国際的な犯罪への懸念も垣間見える。
石破首相「ハニートラップ」疑惑への追及
浜田氏は、講演の後半で石破茂首相を巡る報道にも触れた。「ハニートラップどころか、石破氏が自ら女性を求めたという報道が出ている。これに対し、裁判で名誉毀損を争うべきではないか」と、質問主意書を内閣に提出したことを明かした。
この報道は、ジャーナリストの上杉隆氏によるもので、詳細は不明だが、浜田氏は「事実かどうかは分からないが、首相が否定するだけでなく、裁判で戦うべき」と主張。「自民党に投票することは、こうした総理を容認することになる」と、参院選を控えた有権者に訴えた。本誌が確認したところ、浜田氏の質問主意書はウェブサイトで公開されており、誰でも閲覧可能だ。
NHK受信料不払い運動と立花孝志氏の野望
講演では、浜田氏が所属する「NHK党」の活動も強調された。「NHKの受信料不払いを応援する」と宣言し、受信料収入が減少している実績を誇った。「罰則がないのが日本。裁判される確率は極めて低い。1日3件、年間1000件程度の裁判では、100万人単位の不払い者をカバーできない」と、具体的な数字を挙げて訴えた。
さらに、NHK党党首・立花孝志氏についても言及。「立花氏は日本のトランプだ」と称し、経営者としての感覚、不法移民対策、偏向報道への対抗、信教の自由の重視という4つの共通点を挙げた。現在、立花氏は美濃市長選に出馬中だが、落選すれば参院選(兵庫選挙区)に立候補する予定だ。
「戦う敵を間違えないで」
浜田氏は、講演の最後でこう締めくくった。「スパイ防止法を望む国民には、勝共連合を知ってほしい。戦う敵を間違えないでほしい」。拉致監禁疑惑、フェンタニル問題、NHK受信料不払い運動――一見バラバラに見えるテーマだが、浜田氏の訴えは一貫している。「国民に事実を知ってほしい。そして、選挙で判断してほしい」。
YouTubeライブ配信で240人以上が視聴したこの講演。X上では、浜田氏の発言が賛否両論を巻き起こしている。立憲民主党と宮村峻氏の関係は本当なのか。スパイ防止法は必要なのか。フェンタニル問題は日本の安全保障にどう影響するのか。浜田氏の爆弾発言は、参院選を前に、さらなる波紋を広げそうだ。
筆者より:旧統一教会・田中会長の独占インタビュー(「正論」2025年6月号)は、解散命令請求の背景に拉致監禁・強制棄教の被害が深く関わっていることを浮き彫りにした。政府の提出した157人の陳述書の88%が拉致監禁被害者であり、32件の民事訴訟にも同様の被害者が多数含まれている。この事実を踏まえ、国民的議論の必要性を改めて訴えたい。
(文中敬称略)