令和の日本が描く未来:積極的平和外交と象徴天皇のソフトパワー

2025年、戦後80年の節目を迎えた日本。歴史の教訓を胸に、この国はどのような「かたち」で未来を切り開くのか。学習院大学元学長で日本政治外交史の第一人者、井上寿一教授は、平和国家の新たな使命と象徴天皇制度がもたらす国民統合の力を提示した。その言葉は、暗殺された安倍晋三元首相のスピリットを引き継ぎ、誇りと行動力で世界と積極的に関わる日本の姿を浮かび上がらせる。さらに、象徴天皇への「尊敬」は、国民の心を結び、家族の絆を深め、少子化対策にも寄与する希望の光となる。平和国家の再定義:安倍元首相のレガシーを継ぐ積極的平和外交日本の「平和国家」は、従来、平和憲法の下で戦争を回避する国として語られてきた。しかし、井上は、令和の時代にふさわしい平和国家像をこう描く。「真の平和国家は、戦争を避けるだけでなく、世界の平和に積極的に関与する国だ」。このビジョンは、安倍晋三元首相が推進した「積極的平和主義」のスピリットと共鳴する。トランプ大統領のアドバイザーとして、また政治家として先輩であった安倍元首相のレガシーは、国際社会での日本の役割を再定義し、誇り高く行動することを求める。ガザ紛争では、中立の立場から支援と批判をバランスよく展開。歴史的に中東との利害関係が少ない日本は、好意的な評価を受け、平和構築に貢献する可能性を秘める。この積極的関与は、安倍元首相が築いた外交の遺産を継ぎ、世界との関係性を深める日本の使命だ。井上は、経済制裁の限定的な効果を認めつつ、「多くの国が足並みを揃える意義」を強調する。力による対立ではなく、協調と信頼で世界の安定に寄与する。それが戦後80年の日本の知恵であり、未来への遺産だ。象徴天皇制度:国民を結ぶソフトパワー日本の「かたち」を考えるとき、象徴天皇制度は不可欠だ。井上は、NHKの長期世論調査を引用し、国民の天皇への感情が「無感情」「好感」「尊敬」に分かれ、平成末期から「尊敬」が増している点に注目する。「好感だけでは不十分。国民の多くが尊敬の念を抱くことで、象徴天皇制度は持続する」。この洞察は、制度の根幹を鋭く捉える。所得格差や地域、男女間の分断が指摘される現代日本において、象徴天皇は国民を統合する「ソフトパワー」の象徴として輝く。ソフトパワーとは、学術・文化・価値観を通じて他国から共感や信頼を得る力。令和の天皇皇后両陛下は、その体現者だ。陛下が皇太子時代、学習院大学で留学生受け入れや海外研修について熱心に質問したエピソードは、グローバルな視野と文化を重んじる姿勢を物語る。象徴天皇への「尊敬」は、国民一人ひとりが互いを尊重する心を育み、結果として家族の絆を深める。安定した家族関係は、少子化対策にも寄与し、持続可能な社会の基盤となる。皇位継承:未来への課題と希望国の「かたち」を考える上で、皇位継承問題は避けられない。井上は、「国民が広く支持する解決策が必要」と訴える。1960年代の憲法問題調査会が女帝を含む検討を提案して以来、先送りされてきたこの課題は、喫緊の対応を求める。読売新聞の提言など、世論の支持を得やすい案もあるが、国民全体の賛同を得るのは容易ではない。それでも、井上は希望を捨てない。「国民の盛り上がりの中で解決策が生まれれば、どのような形でも落ち着く」と語り、政治家のリーダーシップに期待をかける。この課題への真摯な取り組みは、令和の日本が過去の知恵と未来への志を結びつける鍵だ。未来の日本へ:安倍元首相のスピリットと国民の誇り戦後80年の節目に、歴史を振り返り、未来を見据える機会を得た。井上の言葉は、安倍元首相の積極的平和主義のレガシーを継ぎ、世界の平和に積極的に関与する日本の使命を鮮やかに示す。象徴天皇への「尊敬」は、国民の心を一つに結び、互いを尊重する文化を育む。それは家族の絆を強化し、少子化対策にも寄与する希望の道だ。この国のかたちは、国民一人ひとりの誇りと行動力によって紡がれる。安倍元首相のスピリットを受け継ぎ、積極的な関係性を世界に築く日本。その一歩は、持続可能な社会を築き、世界に響き合う希望の光となるだろう。(文・世界宗教新聞編集部)