「中学生でもおかしいと気付く判決」:最高裁のルール違反と統一協会の問題とは?

名古屋で開かれたICRF日本委員会の大会で、元武蔵野女子大学教授の杉原誠四郎さんが講演を行った。テーマは、2025年7月11日の最高裁判所の判決と、統一協会(今は世界平和統一家庭連合)に関わる問題だ。この判決には、過去のルールを新しい法律で裁く「遡及法(そきゅうほう)違反」という大きな問題があると、杉原さんは強く訴えた。この話は、宗教を信じる自由と法律のバランスについて、考えさせるものだ。どんな事件?この事件は、統一協会の信者だった辻ミツさん(仮名)が、2015年に「返金は求めない」と書いた念書(約束の書類)がきっかけだ。この念書は、ビデオを撮りながら署名されたものだった。でも、翌年に辻さんは認知症と診断され、その後、娘さんが「母は正しい判断ができていなかった」と裁判を起こした。辻さんが亡くなった後も裁判は続き、2022年にできた「不当寄付勧誘防止法」という法律をもとに、2025年7月11日、最高裁は「念書は無効」と判断した。杉原さんはこの判決を「中学生でもおかしいと思う」と批判する。最高裁は、辻さんが統一協会の影響で「正しい判断ができなかった」と決めつけた。だから、念書も寄付も無効だとされたのだ。でも、杉原さんはこう言う。「どの宗教を信じていても、その教えに影響されるのは当たり前。それを理由に寄付を無効にしたら、すべての宗教の寄付がダメになってしまう。これは、宗教を信じる自由を奪う危険な考え方だ」と。遡及法違反って何? なぜ問題なの?ここで大事なのが「遡及法」という言葉だ。これは、法律ができた後に、それより前の行動を裁くことを言う。たとえば、昨日まで「公園でサッカーをするのはOK」だったのに、今日から「サッカー禁止」の法律ができて、昨日のサッカーで罰金を払えと言われるようなもの。そんなの不公平だよね!法律の世界では、ルールは「できた時から」適用されるのが基本。これを「法の不遡及(そきゅう)の原則」と呼ぶ。この原則は、日本国憲法の第39条で守られている。憲法39条は「過去にOKだった行動を、新しい法律でダメだと裁いてはいけない」と書いている。これは、みんなが安心して生活できるように、ルールが変わっても過去の行動で罰せられないようにする大事な約束だ。でも、今回の判決では、2015年の念書を、2022年にできた法律で裁いた。これは、憲法39条に反する「遡及法違反」だと杉原さんは指摘する。「こんなルール違反は、法治国家(法律が正しく守られる国)としてありえない!」と怒っている。
昨日、友達にお菓子をあげたとする。その時は「あげてもいいよ」というルールだった。でも、今日から「お菓子をあげるのは禁止」という新しいルールができて、「昨日のお菓子を返せ」と言われたらどう思う? 不公平だよね。遡及法は、こんな感じで過去の行動を新しいルールで裁くこと。これが、憲法39条でダメと言われている理由だ。
メディアの役割と宗教の自由杉原さんは、メディアについても話した。統一協会の意見がほとんど報道されず、批判ばかりが広がっていると心配している。「産経新聞さんが取材に来ているけど、両方の意見をちゃんと伝えてほしい」と訴えた。SNSで本当の情報が広まることもあるけど、テレビや新聞も公平に報道する責任があると強調した。さらに、統一協会への「解散命令」についても、「宗教を信じる自由を奪うもの」と批判。杉原さんは、国際歴史論戦研究所の会長として、国連人権委員会でこの問題を訴える活動をしている。個人の信仰を守るために、国際的な場で声を上げる必要があると話した。まとめ:法律と信仰のバランスを考える杉原さんの講演は、最高裁の判決が持つ問題と、宗教を信じる自由への影響を明らかにした。遡及法違反は、憲法39条が守る「過去の行動を新しい法律で裁かない」というルールを破るもの。これは、法治国家の信頼を傷つけるだけでなく、国民の自由を脅かす。感情的な批判に流されず、冷静に議論し、公平な報道が求められる今、杉原さんの言葉は深い意味を持つ。