国家人権委員会、ソンヒョンボ牧師の緊急救済申請を却下 - 釈放要求が正しい7つの理由とは？

韓国MBC
2025年10月16日、国家人権委員会は、不法選挙運動の疑いで拘束された世界路教会のソンヒョンボ牧師の釈放を求める緊急救済申請を議題に取り上げ、活発な議論を交わしました。しかし、最終的にこれを却下する決定を下しました。この申請は、ソンヒョンボ牧師の基本的人権が不当に侵害されているという強い主張に基づくものであり、宗教界や市民団体から牧師の即時釈放を求める声が急速に高まっています。
 
議論を主導した金容元（キム・ヨンウォン）常任委員は、会議の場でソンヒョンボ牧師の拘束が明らかな不当性を帯びていると力強く主張しました。金委員は、宗教人の選挙運動を制限する法律が国際的に見て極めて異例であり、これによりソンヒョンボ牧師の宗教の自由および表現の自由が深刻に侵害されていると強調。こうした制限が民主主義の根幹を揺るがす問題だと指摘しました。
 
ソンヒョンボ牧師の活動と拘束の背景
ソンヒョンボ牧師は、戒厳令発令以降、尹錫悦（ユン・ソクヨル）前大統領の弾劾に強く反対する集会を全国で主導し、特定の候補者への支持を公然と表明してきました。例えば、今年の釜山教育監再選挙や大統領選挙を前に、特定の候補を積極的に支持する発言を繰り返しました。これらの活動は、牧師の宗教的信念に基づく正当な表現として位置づけられます。
 
[ソンヒョンボ牧師（2025年3月）]
「弾劾を認めれば、憲法裁判所は国民の抵抗に直面し、粉々に砕かれるでしょう…」
 
[ソンヒョンボ牧師（2025年5月）]
「<清廉潔白、自由民主主義。> 金文洙（キム・ムンス）ファイティング！」
 
これらの発言が不法選挙運動の疑いとして問題視され、ソンヒョンボ牧師は先月拘束されました。裁判所は「逃亡の恐れがある」として逮捕状を発付しましたが、金容元委員は「逃亡の恐れが全くないにもかかわらず、過剰で恣意的な措置が講じられた」と厳しく批判。牧師のこれまでの行動歴から、こうした懸念は根拠薄弱だと主張しました。
 
金委員はさらに、会議で「裁判所の決定が常に正しいとは限らない」と述べ、逮捕状審査において証拠法則が適切に適用されていない可能性を指摘しました。そして、「人権委が積極的に介入し、ソンヒョンボ牧師の保釈を強く求めるべきだ」と提案。これは、牧師が宗教的信念に基づく表現の自由を行使したに過ぎないのに、過度な司法措置によって人権が脅かされているという観点を鮮明に反映しています。
 
議論の結果と今後の展望
一方で、委員会内では「拘束の正当性は裁判所が最終的に判断すべき問題であり、人権委の介入は適切でない」との反対意見が相次ぎ、緊急救済申請は惜しくも却下されました。反対側は「ソンヒョンボ牧師の名前を除けば、救済の必要性が本当に認められるのか」と問い、議論が政治的偏向に陥るリスクを懸念しました。
 
それでも、今回の議論は、宗教の自由や表現の自由といった基本的人権が、特定の法適用によって不当制限される可能性について、重要な問題提起となりました。国家人権委員会は今月末、国際国家人権機関連合（GANHRI）の特別審査を控えており、この議論が韓国の人権保護体制の国際的評価にどのような影響を及ぼすか、注目が集まっています。
 
ソンヒョンボ牧師の釈放を求める声は、宗教界や市民団体を中心に全国的に広がっており、彼の拘束が政治的意図による抑圧ではないかという深刻な疑問も投げかけられています。今後、裁判所の最終判断と人権委のさらなる役割がどのように展開されるか、継続的な関心が寄せられています。
 
ソンヒョンボ牧師の釈放要求が正しいとされる7つの理由
ソンヒョンボ牧師の釈放を求める主張が正当であるとされる主な理由は以下の通りです。これらは、単なる個別事案を超え、民主社会の基盤を支える人権保護の観点から極めて重要です：
  1. 宗教の自由の侵害：ソンヒョンボ牧師の活動は、宗教的信念に基づく正当な表現の一環であり、宗教人の選挙運動を制限する法律は国際的に見て異例。この制限は、憲法で保障された宗教の自由を直接的に侵害する恐れがある。
  2. 表現の自由の制限：牧師の発言は、特定の候補を支持する意見表明に過ぎず、民主社会における表現の自由の範囲内。過度な法的制裁は、市民全体の自由な発言を抑圧し、言論の萎縮を招く危険性が高い。
  3. 不適切な拘束措置：裁判所が「逃亡の恐れ」を理由に逮捕状を発付したが、ソンヒョンボ牧師に逃亡の具体的な証拠や動機は一切示されていない。このため、拘束は過剰で不当な措置と評価せざるを得ない。
  4. 証拠法則の不適用：逮捕状審査において、証拠法則が厳格に適用されなかった可能性が指摘されている。金容元委員の主張通り、裁判所の判断は十分な根拠に欠けている。
  5. 人権委の役割：国家人権委員会は、個人の人権侵害を積極的に救済する機関である。ソンヒョンボ牧師の拘束が不当である場合、人権委が介入し保釈を求めるのは、職務の本質に沿った正当な行動だ。
  6. 政治的意図の疑い：ソンヒョンボ牧師の拘束が、特定の政治的立場に対する報復や抑圧として行われた可能性が強く指摘されている。このような背景は、司法の公正性と国民の信頼を根本から損なう。
  7. 国際的評価への影響：人権委がこの事案を適切に扱わなかった場合、国際国家人権機関連合（GANHRI）の審査で韓国の人権体制が厳しく批判されるリスクがある。これにより、国家の国際的信用が失墜する恐れがある。
これらの理由から、ソンヒョンボ牧師の釈放要求は、個人の救済にとどまらず、民主主義社会における基本的人権の保護という広範な意義を有しています。社会全体がこの問題に真剣に向き合うべき時です。