
2025年10月19日、名古屋で開催された第8回公開シンポジウム「旧統一教会問題と民主主義 ~司法・政治・メディアの健全性を問い直す~」において、文芸評論家の小川榮太郎氏は、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)をめぐる問題を通じて、日本の司法、政治、メディアの構造的課題を鋭く批判し、信教の自由を守るための展望を語った。本シンポジウムは、家庭連合の2世信者による「信者の人権を守る2世の会」が主催し、支援金で運営された。以下、小川氏の発言を中心に、キャッチーな見出しで内容をまとめる。被害者が加害者に:メディアによる世論操作の実態小川氏は講演冒頭で、「司法と政治とメディア。この国は腐りきってます」と断言。2022年7月の安倍晋三元首相銃撃事件後、メディアがわずか数日で「安倍氏と統一教会の関係」を強調し、被害者である安倍氏を「加害者」に仕立て上げたと批判。「全テレビ局が横並びで同じ論調を展開するのは狂っている」とし、NHKの報道を例に、解散命令の根拠が不明確だと指摘。メディアは「初動」で世論を誘導し、視聴率を追求する構造にあると分析した。「数日で世論が確定するなんて、裏があるとしか思えない。陰謀論ではなく、陰謀だ」と述べ、意図的な操作を強く非難した。宗教は「次元の異なるもの」:非合理性と人間の根源的欲求宗教の本質について、小川氏は「見えないものを信じる行為であり、本質的に取り扱い危険物」と定義。キリスト教の「処女受胎」や統一教会の過去の「霊感商法」など、世俗の常識では理解しにくい事象も、信仰の一環だと説明。カトリックの贖宥状や大聖堂の建設を例に、「非合理な行為」が人類の文化を築いてきたと強調した。人間が宗教を求める理由は「死の恐怖」にあるとし、「死後の世界を知らない唯一の生物」である人間が、根源的な不安に対峙するために宗教を生み出したと論じた。「社会常識とは次元の異なるもの」として、信仰の価値を肯定した。高市総理で状況は好転:政治的背景と解散命令の展望旧統一教会への攻撃を、右翼と左翼の思想的対立の文脈で分析。文鮮明総裁が反共産主義を掲げ、冷戦期に日米韓の保守勢力と連携した歴史が、現在のバッシングの背景にあると指摘。特に、岸信介元首相との関係や「防波堤」としての役割が政治的標的の理由だと述べた。岸田政権については、「メディアの騒ぎに迎合し、抵抗せずに解散請求に至った」と批判する一方、最近の政権交代や高市早苗氏らの台頭により「状況は好転している」と分析。「東京高裁では勝つ」と楽観的な見方を示し、信者たちに希望を与えた。“逆が本当”のテレビを観る必要性:真実を見極める挑戦メディアの情報操作への対抗策を問われ、小川氏は「テレビで言っていることは逆が本当」と冗談交じりに回答。SNSの普及で情報が多様化し、市民が真実を見極める時代が到来していると述べたが、「SNSにも嘘は多い」と警告。「答えを決めつけない姿勢」で直感や複数の情報源を比較することの重要性を強調した。自身は「正面から戦って潰される」経験を繰り返してきたが、論理的な発信で理解者を増やしてきたと語り、「自分の意見を誠実に話すことが大事」と訴えた。基準“再定義”の必要性:宗教と国家の関係を問う宗教と国家の関係について、小川氏は日本での政教分離が「天皇や皇室の祭祀を制限するために悪用されてきた」と指摘。子供家庭庁や消費者庁が左派系の弁護士に影響され、宗教監視の役割を担う危険性を警告した。「宗教被害」の定義が曖昧なまま拡大解釈されると、他の宗教団体にも影響が及ぶと懸念。家族や地域共同体の崩壊が社会問題を複雑化させているとし、統一教会のコミュニティの価値を評価。基準の再定義には国民運動が必要だと訴え、「共同体をどう守るかは大きな宿題」と述べた。「声を上げる勇気と対話」:信者へのエール小川氏は、信者たちに「日本人を信じ、訴え続ければ分かってもらえる」と励まし、「声を上げる勇気と対話」を続けるよう呼びかけた。2世の会の活動を支持し、信仰と活動に自信を持つことを促した。「宗教団体として否定されているのではなく、政治的役割が標的にされている」との認識を共有し、誤解を解く努力の重要性を強調。シンポジウムは、信教の自由と民主主義を考える場として意義深いものとなった。結論小川榮太郎氏は、旧統一教会問題を司法・政治・メディアの構造的課題と結びつけ、「東京高裁では勝つ」との展望を示した。宗教を「次元の異なるもの」と定義し、その価値を肯定。メディアの世論操作や左派の影響力を批判しつつ、信者たちに「声を上げる勇気と対話」を通じて誤解を解く努力を続けてほしいとエールを送った。このシンポジウムは、信仰と社会の関係を再考する契機となった。