家庭連合の光と影:平和貢献の歴史が政治のスケープゴートに – 田中富広会長、富山講演で真実を語る

岸田文雄前総理が2022年8月31日に家庭連合との関係断絶を表明して以来、3年以上にわたり審理は非公開で進められ、教団側の意見が十分に聞かれることなく、文部科学省の宗教法人審議会、解散命令請求、東京地裁の判決に至った。この過程は、日本国憲法の信教の自由を侵害するものだと田中会長は指摘する。公開審理の開始は、韓鶴子総裁の不当拘束という文脈で「女性の時代到来」を象徴する出来事として、家庭連合信者たちに希望を与えた。一方、新総理の高市早苗氏(靖国参拝を称賛される信教の自由擁護者)と、副総裁の麻生太郎氏(カトリック教徒でローマ法王就任式参加者)のコンビは、家庭連合の存続を後押しする可能性を秘めている。
田中会長の講演は、家庭連合の50年にわたる歴史を振り返りながら、その宗教的・社会的貢献を強調した。こうした貢献力の高さが、逆に政治目的で悪用され、安倍晋三元首相暗殺事件の「スケープゴート」に仕立て上げられた悲劇を、最大限に訴えかけた。家庭連合の原点:神の啓示から生まれた平和の探求田中会長は、家庭連合の正式名称「世界平和統一家庭連合」を紹介し、創始者・文鮮明総裁の生涯を概観した。1934年、14歳の文総裁は神からの啓示を受け、イエスとの霊交を通じて使命を託された。当時の世界を蝕む三つの課題――共産主義思想の台頭、宗教界の腐敗と権威喪失、青少年の退廃と不倫セックスの蔓延――を解決すべく、真理探求の道を歩み始めた。
日本統治下の朝鮮半島から日本に留学した文総裁は、早稲田大学附属早稲田高等工学校電気工学科を卒業(当時の名は江本悠明)。祖国の独立運動に関わり、特高警察の監視を受け、巣鴨刑務所に複数回収監された。生涯で6度の牢獄生活を強いられた「牢獄の宗教」として、家庭連合は迫害の歴史を刻んできた。1958年、日本宣教が崔玄春師(日本名:西川勝)により開始され、1964年に宗教法人として認められた。
文総裁の教えは、教典『原理講論』に結実。クリスチャン向けに書かれたこの書は、神の創造理想、人間の堕落と救済を論じ、超宗教・超国家の平和運動を基調とする。田中会長は、「どの宗教も8割は同じことを語っている。違いの1~2割にこだわるより、共通点を活かし、手を取り合って平和を」と強調。世界の学者らが編纂した『世界宗教教典』も、この和合の象徴だ。社会的貢献の軌跡:200を超える平和組織とボランティアの献身家庭連合の活動は、平和構築に特化。文総裁が設立した200以上の組織――すべて「世界平和」を冠する――は、冷戦期の反共産主義克服、宗教界の浄化、次世代育成の三本柱を統合したものだ。特に、天宙平和連合(UPF)は国連経済社会理事会で最高位の「総合協議資格」を有するNGOで、議題提案や政策提言が可能。
2022年のワールドサミットには、150人の元大統領・現職首脳、5,000人の有識者が参加。トランプ前大統領と安倍元首相のメッセージが寄せられたが、これが暗殺事件の起点となった。
ボランティア活動も顕著。平和ボランティア隊(UPeace)は、2011年の東日本大震災を機に発足。14年間で5,000名以上が東北支援に赴き、台風被害地(大島など)でも活躍。赤いジャケット姿のボランティアは、被災地で目立つ存在だ。
毎年5,000~6,000名の信者が参加する幸福度調査では、社会平均を上回る結果を記録。ビジョンは「他のために生きる幸せな家庭」「地域に歓迎される教会」「国と世界に貢献する連合」――これらを体現する活動が、社会的評価を高めてきた。
日本からの海外宣教も活発。世界中の国に宣教師を派遣し、日本文化(着物、舞踊、漢字教室)を通じて平和大使として貢献。送金批判に対し、田中会長は「2006年までアメリカ本部へ、以降韓国本部へ。世界宣教支援の名目で、施設・企画を支えるもの」と説明。こうしたグローバルな貢献は、家庭連合の「統一」を「調和・ハーモニー」として表現。オーケストラの如く、各宗教・文化が個性を活かし、神(父母なる神)を中心に和合するイメージだ。政治の影:安倍暗殺のスケープゴートと憲法違反の審理しかし、こうした貢献の裏で、家庭連合は政治の犠牲者となった。田中会長は、2022年の安倍元首相銃撃事件を「蓄積された悲劇の果て」と位置づけ、教会がスケープゴートにされたと断言。山上徹也容疑者の恨みは教会に向けられ、安倍氏が「広告塔」として標的にされたが、事件後、教会は自民党の「政治利用」の標的となった。
公式見解を一夜で変更、32年前(最古50年前)の民事事件32件を根拠に解散を強行。継続性の証拠なしに「過去の違法行為で十分」と論点をずらし、現役信者5万3,000名の嘆願書を拒否。陳述書の捏造、拉致監禁被害者300名の無視、国連人権委員会の15年勧告(宗教法人法の曖昧さ批判)を放置。
パブリックコメント2,600件も「家庭連合のネット発信に似る」として無視。田中会長は「国家の決定事項として動いてきた。憲法違反の非公開審理で、信者の声は聞かれなかった」と憤る。国際法違反の解散命令と韓鶴子総裁の不当拘束は、トランプ大統領の宗教自由強化(2025年5月)と対立。高市新政権とトランプ政権の「神の同盟」が、これを問う試金石となるだろう。未来への希望:女性リーダーの時代と平和の継承講演の締めくくりで、田中会長はヴィクトル・フランクルの言葉を引用。「幸福は、誰かのために真剣に生きている時に気づくもの」。家庭連合の試練は、貢献力の高さゆえの政治悪用だが、信教の自由を重んじる高市総理、トランプ政権の支援が光を差す。
10月21日の公開審理は、女性総裁の精神を体現する「女性の時代」の幕開けだ。富山の会場は拍手に包まれた。家庭連合の物語は、犠牲を超え、平和のハーモニーを奏で続ける――その社会的価値を、再認識させる一日となった。(本稿は、田中富広会長の講演内容および関連報道に基づく)
