10月27日公判開始:家庭連合・韓鶴子総裁と権性東議員の疑惑裁判、トランプ大統領訪韓下で不当拘束批判高まる

韓国MBC

2025年10月26日

ソウル中央地裁で、統一教会(世界平和統一家庭連合)の韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁と国民の力の権性東(クォン・ソンドン)議員を巡る裁判が2025年10月27日(月)および28日(火)から本格的に始まる。この裁判は、国際法(国連人権規約第18条:信教の自由)および韓国憲法(第20条:信教の自由)に違反する不当拘束として、国際社会から強い批判を浴びており、即時解放が求められている。同時期の28日(火)、ドナルド・トランプ米大統領が釜山入りし、第二次トランプ政権の「宗教の自由強化」政策が日米同盟の根幹として注目される中、韓国の司法プロセスへの影響が予想される。

裁判の概要と主要人物

  • 韓鶴子総裁(拘束中) 2025年9月22日に逮捕された韓総裁は、10月27日(月)午前10時10分からソウル中央地裁刑事合議27部(部長判事ウ・インソン)で公判準備期日が開かれ、検察と弁護側の立証計画が議論される。被告の出廷義務はないが、事件の全容解明に向けた重要な一歩となる。
  • 関連被告
    • チョン・ウォンジュ氏(元秘書室長、天武院副院長、不拘束):韓総裁と共謀し、政治資金提供や金品贈与に関与した疑い。
    • 尹永浩(ユン・ヨンホ)前世界本部長(拘束起訴):政治資金と金品贈与の実行役として起訴。
    • イ氏(尹前本部長の妻):同様の罪で起訴。 これら被告は、統一教会の資金を不正に流用したとして、検察から厳しい追及を受けている。
  • 権性東議員(拘束中) 10月28日(火)午後5時から、ソウル中央地裁で政治資金法違反の初公判が予定されている。権議員は2022年1月、韓総裁の指示を受けた尹永浩氏から1億ウォン(約1200万円)を受け取り、尹錫悦候補(当時)の大統領選勝利後に統一教会の懸案を請託する約束をした疑い。検察のキム・ゴンヒ特捜チームは、権議員が統一教会の信者動員や組織的支援と引き換えに選挙支援を受けた可能性を指摘。権議員は9月16日に拘束され、10月1日に拘束の不当性を訴えたが、裁判所はこれを棄却した。

国際法・韓国憲法違反の批判と解放要求

韓総裁の逮捕と拘束は、国際法および韓国憲法に違反する宗教弾圧として、国内外から強い反発を招いている。国連人権理事会やアムネスティ・インターナショナルは、韓総裁らの拘束を「政治的動機に基づく迫害」と非難し、即時解放を要求。米国や欧州連合EU)は外交ルートを通じて韓国政府に圧力をかけている。統一教会側は「裁判は政治的陰謀」と主張し、司法の公正性に疑問を投げかけている。

トランプ大統領訪韓と宗教自由政策

裁判開始と同日の10月28日(火)、トランプ米大統領が釜山に到着し、APEC関連首脳会談や李在明(イ・ジェミョン)韓国大統領、習近平中国国家主席との会談を予定している(一部報道で29日到着の可能性も)。第二次トランプ政権(2025年1月発足)は、宗教の自由を外交政策の柱とし、2月7日の大統領令で「ホワイトハウス信仰事務所」を設置、5月1日には「宗教自由委員会」を創設。連邦政府内の反キリスト教バイアス排除や、国際的な宗教迫害対策を強化している。

 

トランプ氏は「宗教の自由は米国の第一修正条項の核心であり、日米同盟の基盤」と強調。日本の高市早苗首相との会談でもこの議題が取り上げられ、韓国政府に対し宗教自由尊重の圧力が高まる可能性がある。

今後の展望

この裁判は、韓国政治の腐敗、宗教団体への規制、国際的な人権問題が交錯する複雑な事件として、国内外の注目を集めている。統一教会の資金運用や政治との癒着の実態がどこまで明らかになるか、またトランプ大統領訪韓と宗教自由政策が韓国の司法プロセスにどのような影響を与えるかが焦点となる。後続の公判や国際社会の反応に注目が集まる。