釜山で「ソン・ヒョンボ牧師即時釈放」集会 宗教弾圧糾弾の声高く 教会関係者ら数百人参加
2025年10月27日
韓国南西部の釜山で26日、韓国キリスト教会の著名な指導者である世界路教会(セゲロ教会)のソン・ヒョンボ牧師の不当拘束に対する抗議集会が開催された。牧師の即時釈放と宗教弾圧の糾弾を求める声が相次ぎ、教会関係者や市民ら数百人が参加。韓国社会の政治・宗教的緊張を象徴する場となった。
背景:公職選挙法違反容疑での拘束、教会側は「言論の自由侵害」
ソン牧師は今月9日、公職選挙法違反の疑いで拘束された。教会の礼拝で教育長選候補者の政策を批判的に言及したことが問題視され、検察は「選挙妨害」と認定。牧師側は「宗教の自由と表現の自由の侵害」と強く反発し、拘束は政治的意図によるものだと主張している。韓国憲法第20条が保障する政教分離の原則を侵害しているとの批判も高まっている。
集会は、韓国長老教会(高神総会)傘下の複数のノ会(地区教会連盟)が主催。参加者は「ソン・ヒョンボ牧師を自由にせよ」「宗教弾圧を許さない」などのプラカードを掲げ、午後3時から約2時間にわたり祈り、演説、歌唱、ダンスパフォーマンスを行った。司会は地元教会の指導者が務め、参加者は主に高齢者と家族連れが目立った。
集会のハイライト:獄中からの手紙と国際的支援のメッセージ
集会は賛美歌と祈りで始まり、ソン牧師の獄中からの手紙が代読された。手紙では「この国で信頼できるのは教会しかない。次世代の教育が反キリスト教的な方向に進んでいることに心を痛めている」と述べ、教会に政治的発言を促す内容が含まれ、参加者から大きな拍手が沸いた。牧師は手紙で「来年6月の教育長選で、神を畏れる候補を支援せよ」と呼びかけ、参加者に「行動と祈り」を訴えた。

米国のラム・メコイン牧師(チャーリー・カーク師のメンターで、トランプ前大統領関連団体幹部)からのビデオメッセージも上映された。英語で「韓国教会は米国の兄弟にインスピレーションを与えている。信仰、徳、自由の三本柱がなければ国家は存続しない。教会は国家の良心だ」と語り、ソン牧師の釈放を米政府に働きかけていることを明かした。参加者は「神は恐れを与えず、力と愛と健全な心を与える」との言葉に共感を示した。
地元の高位聖職者らも次々と登壇。金義老ノ会長は韓国憲法の保障する「救い、命、自由、繁栄、平和、正義」を祈り、教会の結束を強調。金晋弘牧師(「二つの共同体」創設者)は「ソン牧師は獄中で新しい指導者として生まれ変わる。冬が深まるのは春のためだ」と比喩的に語り、参加者を鼓舞した。
政治・社会問題への言及:教育改革と「左傾化」批判
集会では、韓国社会の「左傾化」に対する懸念が繰り返し語られた。学父母代表は「公教育が同性愛肯定や反キリスト教的教育に染まり、子どもたちを預けられない。ソン牧師の拘束は教会の沈黙を招くものだ」と訴え、参加者から「教育弾圧中断(教育弾圧中止)」のコールが上がった。
元高官の金文洙氏は「李在明政権は自由民主主義を崩壊させている。ソン牧師の犠牲が国家を目覚めさせる」と述べ、参加者と「団結せよ、戦え、勝て!」のスローガンを叫んだ。憲法学者・ファン・ドス教授(憲法裁判所研究官)はビデオで「拘束は言論の自由を侵害。国際人権規約に違反する。法の下の平等を求める」と法的主張を展開した。
ユーチューバーのキム・チャンヒョク氏(「大人の男の右旋回」)は「暴力的な極右のレッテルを貼るのは左派の策略。教会と国家の自由を守れ」と若者層に呼びかけ、芸能人のチェ・グク氏(コメディアン)はユーモアを交え「牧師の説教が選挙法違反? なら左派芸能人の政党支持は表現の自由か?」と皮肉った。
歌手メディオンらのパフォーマンスやダンスチームの公演も交え、集会は熱気を帯びた。終了時には参加者がスマートフォンのライトを掲げ、「真理の光で韓国を照らせ」と祈りを捧げた。
28日初公判へ 教会側「祈りと行動で勝利を」
集会主催者は「ソン牧師の拘束は教会全体への警告。来年6月の教育長選で聖書的価値観を守る候補を支援する」と声明。28日午後2時40分に予定される初公判と保釈審理に向け、釜山地方法院前でのデモを呼びかけた。韓国教会は歴史的に政治弾圧に抵抗してきたが、今回の事件は政教関係の新たな火種となりそうだ。
参加者の一人は「牧師の獄中生活は私たちの信仰を試す神の計画。絶対に勝つ」と語った。集会は平和的に終了し、周辺商店街の活性化も呼びかけられた。