映画「でっちあげ」原作者が語る——不条理の連鎖を断ち切るために:ストーカー事件と司法の影


穏やかな暮らしを愛し、家族や信仰を大切にする人々が、ある日突然、予期せぬ嵐に巻き込まれることがある。それは、ノンフィクション作家・福田ますみ氏が語る、ある男性信者のストーカー事件に端を発する物語であり、映画「でっちあげ」の原作者として知られる彼女の視点から描かれる。この事件は、単なる誤解や個人の行動を超え、司法や社会の深い闇を浮き彫りにする。品格ある視点から、この不条理の連鎖を紐解き、真実を求める声を届けたい。寝起きの悪夢——突然の逮捕劇2011年2月、都内の自宅で静かに眠っていたAさん(仮名)は、深夜のインターホンの音で目を覚ました。玄関を開けると、そこには見知らぬ男性3人とテレビクルーの姿。手に持つ紙には「ストーカー容疑で逮捕」と記されている。寝ぼけ眼のAさんには状況が飲み込めず、ただ混乱するばかりだった。家宅捜索が行われ、ダンボールに詰め込まれた私物とともに、彼は手錠と腰縄で連行された。行き先は荻窪警察署。そこから始まるのは、Aさんにとって想像もしなかった試練の日々だった。Aさんが逮捕された容疑は、ストーカー規制法違反。だが、彼の行動は、愛する人を探し求める純粋な想いから生まれたものだった。Aさんは、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の信者であり、祝福結婚を誓い合った女性、B子さん(仮名)との未来を夢見ていた。しかし、B子さんが突然失踪。彼女を探すため、Aさんは必死に手がかりを追い続けた。その過程で、B子さんの父親の車にGPS機能付き携帯電話を取り付けたことが、後に「ストーカー行為」とみなされる要因となった。愛の行方を追う心、その裏の真実AさんとB子さんは、2007年に教会の祝福結婚式で結ばれることを誓い合い、互いに深い信頼を築いていた。デートを重ね、将来を語り合う日々は、Aさんにとってかけがえのない時間だった。しかし、2008年1月、B子さんが実家に帰ると宣言した直後、彼女は消息を絶つ。AさんはB子さんの両親に会おうと試みたが、実家は空っぽ。教会の仲間や探偵の力を借りても、彼女の行方はつかめなかった。やがて、2008年12月にB子さん名義の脱会届と結婚破棄の通知が教会本部に届く。Aさんはこれを「偽装脱会」と疑い、さらなる調査を進めた。2009年、父親の車にGPSを取り付け、彼女がプロの脱会屋・宮村孝志氏が関与するマンションにいる可能性をつかむ。Aさんの行動は、B子さんを取り戻したい一心だったが、これが法の網にかかるきっかけとなった。2010年、AさんはB子さんと偶然再会するが、彼女は別人のように変わり果てていた。「私は傷ついている」と叫び、警察に通報するB子さん。Aさんはショックを受け、追跡を断念するが、2ヶ月後の2011年2月、突然の逮捕劇が彼を襲った。取り調べでは「簡単な道(罰金で済む略式起訴)」か「正式裁判」を選ぶよう迫られたが、Aさんは無罪を信じ、裁判を選んだ。司法の壁——聞かれない真実裁判は、Aさんにとってさらなる不条理の場となった。彼の弁護側は、B子さんが拉致監禁によって失踪した可能性を主張したが、裁判長は「拉致監禁」という言葉に過剰な反応を示し、議論を封じた。Aさんが提出した証拠も、裁判所には届かなかった。結果、懲役3ヶ月・執行猶予4年の有罪判決が下り、控訴も退けられた。驚くべきことに、逮捕には警視庁公安部が関与していた。福田氏はこの点に疑問を投げかける。「なぜ、ストーカー事件に公安が動いたのか。背後には、家庭連合への組織的な狙いがあったのではないか」と。さらに衝撃的なのは、2021年7月、Aさんを支援する信者にB子さんの母親が漏らした言葉だ。「公安が訴えるよう言ってきたから、怖くて訴えた。Aさんのお母さんに謝りたい」。この告白は、事件が個人の意思を超えた力が働いた結果であることを示唆する。Aさんは、家庭連合を標的とした「国策捜査」の駒にされた可能性が高いのだ。不条理の連鎖を断つためにこの事件は、単なるストーカー事件ではない。福田氏が取材を通じて明らかにしたのは、家庭連合に対する根強い偏見と、司法やメディアが作り上げる「悪」の物語だ。全国霊感商法対策弁護士連絡会全国弁連)が、家庭連合を「悪徳商法」や「カルト」と決めつけ、長年にわたり攻撃を続けてきた背景には、イデオロギー的な対立があると福田氏は指摘する。1980年代の霊感商法キャンペーン以来、メディアと結託した全国弁連は、社会問題を「作り上げ」、家庭連合を追い詰めてきた。Aさんの事件は、その一端にすぎない。裁判所では、家庭連合が関わる訴訟は「カルトだから負ける」という枠組みが出来上がっていると、元全国弁連の弁護士も証言する。公正であるべき司法が、偏見に支配されている現実。福田氏はこう訴える。「日本が宗教弾圧国家になってはいけない。信者一人ひとりが声を上げ、理不尽な状況を打破してほしい」。この物語は、愛と信仰を貫こうとした一人の男性が、不条理な力に翻弄された記録である。しかし、それは私たち一人ひとりに突きつけられた問いでもある。真実を見極め、声を上げる勇気を持つこと。それが、不条理の連鎖を断ち切り、穏やかな未来を守る第一歩となるだろう。不条理の具体例
  • 純粋な想いの誤認:Aさんの行動は、愛するB子さんを探し求める純粋な想いから生まれたものだったが、ストーカー行為とみなされ、逮捕に至った。
  • 拉致監禁の議論封じ:弁護側がB子さんの失踪に拉致監禁の可能性を主張したが、裁判長は「拉致監禁」という言葉に過剰反応し、議論を封じた。
  • 国策捜査の影:B子さんの母親が「公安が訴えるよう言ってきたから、怖くて訴えた。Aさんのお母さんに謝りたい」と告白。Aさんが家庭連合を標的とした国策捜査の駒にされた可能性。
  • 公安の異例な関与:ストーカー事件に警視庁公安部が関与し、家庭連合への組織的関与を疑ったが、証拠が見つからず、Aさん個人が標的となった。
  • 偏見に支配された司法:裁判所では「カルトだから負ける」という枠組みが形成され、家庭連合側の証拠が無視され、不利な判決が続いた。

家庭連合の解散命令に異議あり有識者35人」

【国内の有識者

  • 浜田 聡  参議院議員
  • 増渕 賢一 元栃木県議会議長
  • 細谷 典男 茨城県取手市議会議員
  • 高比良 元 元長崎県議会議員
  • 美馬 秀夫 徳島市議会議員
  • 井上 真吾 福岡県北九州市議会議員
  • 岡田 実  鳥取市議会議員
  • 田中 剛(仮名) 宮崎県内の地方議員
  • 林 正寿  早稲田大学名誉教授
  • 杉原 誠四郎 元武蔵野女子大学教授
  • 仲正 昌樹 金沢大学教授
  • 高 永喆  拓殖大学客員研究員
  • 小林 政和(仮名) 都内私立大学教授
  • 山田 茂(ペンネーム) 社会学
  • 古屋 憲市(仮名) 国立大学名誉教授
  • 小川 榮太郎 文藝評論家
  • 福田 ますみ ノンフィクションライター
  • 窪田 順生  ノンフィクションライター
  • 加藤 文宏  著述家
  • フマユン・A・ムガール ジャーナリスト
  • 中川 晴久 主の羊クリスチャン教会牧師
  • 岩本 龍弘 牧師
  • 砂川 竜一 つきしろキリスト教会牧師
  • 溝田 悟士 伝道師、言語聴覚士
  • 中山 達樹 国際弁護士
  • 朴 達明(仮名) 在日本大韓民国民団地方本部元団長
  • 魚谷 俊輔 UPFジャパン事務総長

【海外の有識者

4人の人権活動家による意見書

  ウィリー・フォートレ NGO「国境なき人権」ディレクター

  ヤン・フィゲル 元欧州委員会教育委員

  マッシモ・イントロヴィニェ 宗教社会学

  アーロン・ローズ 「宗教の自由フォーラム」会長

家庭連合の解散命令に反対する署名