2022年7月8日、元首相安倍晋三が奈良市で銃撃され暗殺された事件は、日本社会に衝撃を与えた。事件後、メディアや国会で家庭連合とその信者を取り巻く状況が議論される中、拉致監禁が単なる家族間の問題ではなく、組織的な「犯罪ビジネス」として機能していた可能性が浮上している。ここでは、実際に息子を拉致監禁した経験を持つ信者の母親の証言をもとに、その背後に潜む真実を明らかにする。
母親の証言:息子を救うためと信じた7年間
この母親(以下、お母さん)は、息子(仮名:猿田彦)が1992年に家庭連合に入会したことをきっかけに、夫と共に彼を教会から引き離す行動を開始した。1995年のオウム真理教による地下鉄サリン事件が転機となり、メディアで報道される宗教団体の危険性に危機感を抱いた夫が動き出し、お母さんも参加。「統一教会は法を犯さないから長く存続し、息子が抜け出せなくなる」と恐れた彼女は、息子を「救う」ために行動を決意した。
お母さんは、日本基督教団の勉強会や「父母の会」に参加し、牧師から「早くやめさせないと大変なことになる」と急かされた。7年間で3度にわたり息子を拉致監禁しようと試み、探偵を雇って行動を監視し、数ヶ月の監禁を実行したこともあった。しかし、いずれも息子に逃げられ失敗に終わる。最終的に「やるだけのことはやった」と感じ、「あなたの人生を生きなさい」と息子に委ねたが、縁を切るつもりはなかった。
背後の構造:牧師と弁護士の影
お母さんの証言からは、拉致監禁が単なる親の独断ではなく、組織的な支援と圧力の下で行われていたことが伺える。具体的には以下のような背後要因が明らかになった。
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牧師の役割とプレッシャー
お母さんは、指導を受けた牧師が怯えている様子に気づき、「牧師も誰かに操られているのではないか」と感じた。早稲田や戸塚の教会で開催された勉強会では、牧師から「時間が経つほど抜け出せなくなる」と繰り返し急かされ、「思考停止」状態で行動したと振り返る。息子の猿田彦も、牧師が過去の行為に負い目を感じている姿を目撃し、「牧師も被害者」と推測している。
安倍暗殺後の露呈と真実
安倍暗殺以前、拉致監禁問題は一部の信者や家族の間で語られるに留まり、社会的な注目は薄かった。しかし、山上の供述が家庭連合と政治家の関係を浮き彫りにし、2022年以降、メディアや国会で関連情報が次々と明るみに出た。お母さんは「30年近く隠されていたことが、安倍さんが亡くなったことで出てきた」と語り、猿田彦も「黒幕がいたんだ」と確信を深めた。
具体的には、全国弁連や一部キリスト教会が、統一教会を潰す目的で親を扇動し、拉致監禁を「保護説得」と称して正当化してきた可能性が指摘されている。拉致監禁された信者は約4300人に上るとされ、自殺や精神的破壊に追い込まれたケースも報告されている。この「犯罪ビジネス」は、イデオロギーと金銭的利益を背景に、信仰の自由を踏みにじる行為として問題視されている。
母親の心の変化と願い
当初、息子を「犯罪者」と誤解し、拉致監禁に手を染めたお母さんだが、後に家庭連合信者のボランティア活動や礼儀正しさに触れ、「素晴らしい人たちもいる」と認識を改めた。現在は、息子が始めた「親子修復の会」に協力し、同じ経験をした親子の心の解放を目指している。「過去は忘れられないかもしれないが、明日を生きてほしい」と語り、教会に残る息子とも笑顔で過ごせる日々を願う。
結論:真実を求める声
お母さんの証言は、拉致監禁が親の愛情を利用した犯罪ビジネスであり、その背後に牧師や弁護士、そして更大的な勢力が関与していた可能性を示している。安倍暗殺を機に露呈したこの問題は、信仰の自由や家族の絆をめぐる深い議論を呼び起こしている。真実を明らかにし、被害者の救済と再発防止に向けた法的な対応が求められる中、親子修復の活動は一つの希望の光となりつつある。

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